2018年5月27日日曜日

社長の器

今週前半は三ヶ月に一度の社員面談でした。

終日の面談は、なかなかハードワークですが、それぞれのメンバーと役割や、目指す方向などが擦り合わせできると、やっている甲斐もありますし、若い人の成長を感じたり、ベテランが役割を発揮してくれていると、嬉しくなります。

ただ同時に、課題も沢山見えたり、全く伝わっていない事もあって一進一退を繰り返しています(笑)が、それも含めて、自社の位置付けがよく分かります。

週の後半は勉強会で、売り上げ日本一のお豆腐屋さんの相模屋食料さんへ訪問し、工場見学と、社長のお話を伺ってきました。

お豆腐屋さんと言いながら、一般的には斜陽と感じられる業界で、何と13年間で売り上げを7倍にされ、直近では約220億円ですから、立派な製造メーカーで、工場も今まで行った精密機器などの工場を含めても、一番厳しく衛生管理をされていて、社員の方の応対、働き方も素晴らしい企業でした。

躍進の起点は、年商32億の時に新工場を41億で建てた事だそうですが、その際は、毎日、あそこはもう潰れると周囲から言われていたそうです。

うまく行きだした頃から、当時、非難していた人ほど、”よくやった、うまくいくと思っていた”などと言っていたそうですが、これは私自身も経験があるのですが、他人(ヒト)って何なんでしょうね?
所詮そんなものですから、やはり自分をしっかり持っていきたいものです。

社長自身が40代半ばなので、まだ後の事は考えず、これら仕組みづくりや教育なども、全て社長が作り上げて来られた様でしたが、弱者の戦略で、中小企業が勝てるのはスピードしかないと走って来られた様でした。

丁度面談で、一進一退の自社の課題や、現状のポジショニングで感じていたポイントとも重なり、又、私自身との比較から、考えを整理するに大変役立ちました。

翌日は、石坂産業さんが本社横で作っておられる東京ドーム4個分の里山、三富今昔村で、年に二、三度開催されるという、さとやまNightに寄らせて頂きました。

石坂産業さんは以前から、石坂社長のお話も聞いていましたし、テレビなどで様子は見ていましたが、東京ドーム4個分という広大な敷地で里山を形成されているのを目の当たりににすると、偉大さというか、尋常では考えられない展開をして来られたのを、肌で感じる事ができました。

この展開も、ダイオキシン問題で産廃業者が徹底的に悪者にされ、石坂産業さんも地域から出て行けとの運動をされた所から、当時最新の設備を15億で導入されたばかりにも関わらず、その設備を廃棄し、新たに40億を投資して全天候型独立総合プラントに作り直して、焼却から再資源化に転換されたのでした。

企業は社長の器以上にはならないと言いますが、売り上げより大きな投資を行なって来られた社長に連続で会って、私自身も棚卸しできました。

今朝、以前から取材して頂いていたNHKのルソンの壺が放送されました。

オフィス改革というテーマで、最大手のコクヨさんとウエダ本社を取り上げて頂いたのですが、ポジションニングも考えて、私自身の器に合わせて動いて行きたいと思います。

2018年5月20日日曜日

ルソンの壺をご覧下さい!

今週の日曜日(13日)は、スタジオでのテレビ収録を経験させて頂きました。

ルソンの壺 というNHKのビジネス番組で、放送は5月27日7時45分からと早いですが、これをご覧頂くと、事務機のウエダという事で知って頂いている経済界の方には、ウエダ本社は一体何をやってるのか?について、ソーシャルの世界で知って頂いている方には、我々がお金を稼いでいる部分について、ようやくご理解頂けると思います(笑)


ただ残念なのは、小説ハゲタカを書かれた真山仁さんが司会という番組なのに、放送は関西エリアのみとの事で、他地域の方はオンディマンドか、関西エリアの方に録画でもしてもらってでしかご覧頂く事ができません。

今回、”オフィス改革”というテーマだったとは言え、NHKさんが、うちの会社を探し当てて、取り上げて頂けたのは、大変うれしい事でした。

まだまだオフィスにお金を掛けてどれだけ儲かるのか?できればお金を掛けたくないと考える所が多いですが、我々は、その感覚こそが、日本が価値創造していけない根源だと思っています。

そしてその管理(指示、命令)体制の感覚のままで、働き方改革と叫んで制度化していく事の、国としての危険性を感じているだけに、人のパフォーマンス、モチベーションを高めるオフィスや、価値を生む場というものを研究して、提唱して来た事が、漸く一部で理解して頂ける様になり、NHKさんにも見つけて頂ける様になったという事で、大変うれしい事だったのです。

政府、経済界、教育界、社会全体のこれまでの枠組みが、完全に制度疲労を起こしているにも関わらず、色々なニュースを見ても、まだまだ力づくで、上から押し通していくやり方がまかり通っています。

オフィス領域などからの変革などというのは小さい動きではありますが、人の働く場所や環境にお金を掛けていくという事や、自分達で考えていくという事は、管理型、その元となる、均一性、効率化などを良しとして来た価値観から、人の可能性、個性などを尊重していく価値観への転換を意味するので、我々としては、これを機にもっともっと広めていきたいと思います。

今週、すばらしき経営研究会は、私も以前聴いて感銘を受けた、「渋滞学」を作られた東大の西成先生の講演でしたが、車、人、在庫、の渋滞、果てはアルツハイマーという病気までもが、記憶の渋滞として同じ構図で捉える事ができ、解決策も同じだという理論で、渋滞を起こさない為には、詰め過ぎず、余裕や一見”無駄”と見える事を入れていく事が重要で、これら全てに共通する理屈だとお話されていました。

間隔を開けたり、休んだりする事が”無駄”と捉えられてしまうのですが、問題解決していくには、まずこの”無駄”の定義をする事、そしてその”無駄”を決めるには、目的と立場と期間を決めないと定義できないとの事で、会社で言えば、短期的利益を求めるのか、長期的利益や継続、永続を目的とするのかで、”無駄”の定義は違うものになり、立場や、何を目的とするかの違いで、必要な事は真逆にもなってしまいます。

会社の目的を、社員や仕入先、得意先を幸せにする事と考えれば、自社の数字や効率だけを考えた展開はしないでしょうし、人を簡単にカットして利益を上げるなど、あり得ない話になります。

我々のオフィスでの展開も、”無駄”なスペースを作りますし、それを作っていく事を社員さんに話し合ってもらって決めるという、多大な”無駄”な時間と費用を掛けた事を行なっていくのですが、それを分かって頂けるケースが出て来たというのは、”無駄”の捉え方も変わって来たのかもしれません。

今週、私の所に来た話を振り返ってみても、短期的利益、或いは自社の都合ばかり考えた話と、長期的利益や信用、信頼に基づいた話が混在していました。

それだけに、”無駄”の定義が合う人、つまり、規模や業種や国(地域)や年齢など関係なく、目的、立場、期間の概念が合う人や所と、手を結んでいかなくてはならないと思いますし、それがこれからの未来を大きく変えるポイントになると思います。

という一歩に向けても、まずは、27日のルソンの壺をご覧ください!(笑)


2018年5月13日日曜日

自分達は何者か?

京都芸繊維大学の仲研究室とは、現在、ウエダ本社のブランディングについて共同研究しています。

それは我々ウエダ本社が、単に、オフィスをスペースとして、ハード的に捉えて提供しているのではなく、企業の人や風土を変えていく事も重要視しているので、そういう展開をするウエダ本社の強み、魅力は何か?何と説明すればよいのか?という事について分析してもらっているのです。

そして、社員がウエダ本社の魅力についてプレゼンするのですが、今週はその第二回目で、最近に入った社員と、インターンで来ている人という、まだ外部目線を持つ人からプレゼンしてもらいましたが、前回行なったリーダー達の視点とは又違って、改めて気づくポイントもあり、なかなか面白いものでした。

私が目指してきて、今もその方向で進めているのは、カテゴライズされない会社(簡単に”~業”と言われない会社)であり、理想形は、ウエダ本社みたいなのが”~業”とか、”~屋さん”、と言われる存在になる事です。

そういう意味では、ウエダ本社って何屋か分からないとか、一言で説明できないというのは、目指す方向には向かっているのですが、とは言え、コンセプトなどは分かりやすく言える方が良いので、この先も、分析、揉みこんでいってもらって、一応、8月3日に予定しているウエダ本社の80周年のパーティーに併せて今年は一枠だけ行う、京都流議定書の所で、発表できればと思っております。

ドラッカーは、企業の目的は顧客の創造しかないと言っており、顧客の創造を目的とするなら、基本的機能はマーケティングとイノベーションしかないと言っています。

マーケティングにおいては、何屋か分からんというのは、独自性を作り、競争しない存在になるという事で、「戦いを略する」正に戦略であり、一つのブランディングとしても狙い通りではあるのですが、自分達自身が、”自分達は何者か?”を分かっていないところが課題で、そこにまだ大きなギャップがあります。

我々は、この企業の基本的機能の一つであるイノベーションを生み出す場を提供していく会社です。

そして、その場は決してハードではなく、風土や人が中心となったものであるので、一旦は、何屋か分からんフェーズにいるのです。

今週は二次面接も行っていました。

何屋か分からん会社に来てくれているのは素晴らしい学生ばかりで、しかもその多くが、わざわざウエダ本社を目指して来てくれています。

彼らの方が、ウエダ本社の魅力について、適格にプレゼンをできるのではないか?とも思いますが、そんな学生さん達なのに、少数しか入ってもらえないという事、そして、そんな所での自分自身の役割と、自分自身は何者か?について、今居るメンバーは改めて考えて欲しいと思います。

2018年5月6日日曜日

80周年に想いを馳せて

南ビルのリノベーション工事をする様になった7年ほど前から、毎週月曜日の朝は、個人的に周辺の清掃と、南ビルの裏にある創業者の祖父母と、岡村家のお墓参りをする事にしています。

今週の月曜日はそれが80周年の創業日となる5月1日でしたので、その報告を兼ねて、いつもの様に清掃をしながら進んでいると、うちの管理部門の担当と4月から中途入社のスタッフが、お花も携えてお墓に向かってくれていました。

この管理部門の担当は私よりは年配ではあるのですが、上場企業からの中途入社で、ウエダ歴としてはまだ5年程の者で、まず、その様なスタッフが創業者のお墓参りに出向いてくれる事が嬉しかったですが、聞くと、前任者でウエダ一筋40数年で定年まで勤め上げて頂いた管理担当者が引き継いでくれていたとの事で、これにも感激しました。

そして又それを、入ったばかりのスタッフを同行させて継承していってくれているのですから、朝一から大変嬉しい80周年の創業記念日となりました。

お墓参りと言えば、実は何名もの元社員の方々が、退職されたあと数十年もの間、お盆や暮れ、お彼岸に、お参りして頂いていたり、更には、創業者や私の両親それぞれの命日に参って頂いている方もあって、社員さん達とそんな関係を築いていたり、社員さん達にその様な誇りを持ってもらえる会社を創り上げて来た創業者の祖父や父親を、見直す事ができる様になりました。

そして、この様な想いの方々が繋いできて頂いた会社を、何としても残し、改めて喜んで頂ける会社にしたいと思う様になっていったのも、毎週お墓参りをする様になってからかもしれません。

今居る我々は、決して自分達だけの事で考えるのではなく、これまで繋いで来て頂いた方々、想いを注ぎ込んで来て頂いた方々があって今があるので、それを絶やさず、次世代に誇らしい会社として繋いでいく事を目指していかなくてはならないと思います。

それだけに会社は社長のモノではなく、今居るメンバーだけのモノでもなく、これまでに
関わって頂いた全ての方のモノだと思いますし、創業者と同様にはできないながらも、私なりに今の社員さん達にも、誇りを持ってもらえる様な存在価値を創り上げていきたいと思います。

折しも翌5月2日には、うちの会社を取り上げて頂く番組取材が行われていました。

これまでニュースなどで取り上げて頂いた事は何度かありますが、番組で取り上げて頂くなどは初めての経験で、撮影協力頂いている先様にも多大なご負担をお掛けしたり、結構大変ではありますが、スタッフ達の意識変化が起こればと思いますし、この事が、繋いで来て頂いた先人達へのお返しの一つにもなればと、楽しみにしています。

又、この連休の間には、ウエダ本社にとって、凄い発見もして来ました。

創業者の祖父は、私の血の繋がった祖母の再婚相手で、丁稚奉公から身を立てた人ですが、生まれは奈良県の桜井市で、その親戚は不動産業を営んでいると聞いていたのを思い出し、何となく探してみると、何と、親しみのあるロゴの社名を見つけたのです!

 以前もここでも書きましたが、斜体にしている“ウエダ”の字体を、全く関係のない京都市内の会社が真似ているのですが、これを見ても、我々のオリジナルという事が分かって頂けると思います。

今週は2日間だけの出勤でしたが、創業から現在の姿までが繋がった様な週でした。

そして、今日5月6日は父親の誕生日で、これも又生きていれば100歳となります。

二代目であった私の父は戦争にも行っていましたし、戦死でもしていれば私も生まれていない事になりますが、ウエダ本社も全く違うものになっていたでしょう。

80周年、改めて色々な事に想いを馳せて、今在る事に感謝したいと思います。