2016年8月28日日曜日

最も美しい村(過疎)を巡って想うこと


先週から行なってきた社員との面談を水曜日で終え、木曜からは北海道に行っておりました。

と言っても休暇ではなく、勉強会に絡めてのものでしたが、私にとっては気分転換も含めて有意義な時間でした。

勉強会のメンバーでもあるカルビー元会長が、”日本で最も美しい村連合”の日本での提唱者である為、その登録地で開催される事が多く、今回も北海道の鶴居村という所で行われたのですが、どうせ道東に行くなら、と、8年前に御世話になった清里町に、レンタカーで一人で行ってきました。

全国に広がる移住計画ですが、その走りとも言える、”ちょっと暮らし”というプロジェクトや、住んでみたい北海道推進会議というものが以前からあり、そこからのお声掛けで8年前に家族で2週間、モデルとして清里町に滞在した事があったのです。

その頃には全く考えていなかったのですが、この清里町での経験は、現在の展開、考え方に大きく関わっているのです。

テレワークを絡めて、お父さんさえ仕事ができれば、北海道の自然豊かな環境は子供達にとって良いでしょう?という総務省×テレワーク協会のモデルは、その頃ADSL回線しかなかったそのエリアでは早すぎましたが、今正に、のコンセプトでした。

”行きたいけど、流石に二週間も会社空けられないので、一週間になりませんか?”と交渉しましたが、”一週間では旅行で、”ちょっと暮らし”というからには最低二週間は来てもらわないと、という担当者との話で、結局、お盆を絡めて二週間行くという事になったのですが、二週間となると生活をする感覚になり、その土地の素材や、当時の町長が、”無名な事が清里町の魅力だ”と言われる通り、観光で踏み荒らされていない自然の贅沢さを体感させて頂きました。


その経験があったので、この勉強会で美しい村(過疎)に行くと、”無いものは無い”という海士町を始め、それぞれの前向きな過疎地域の取り組みが、しっくり理解できましたし、実はそれが、今のリノベーションにも繋がっており、オフィスに向けての考え方にも影響しているのです。

誤解を招くかも知れませんが、障がい者雇用や女性活躍支援と騒いでいますが、それは特別なものではないと思います。

地方、過疎地域、中小企業、斜陽産業、一流大学卒以外の学歴、これらも基本的に同じで、弱者の論理で考えていかなくてはなりません。

しかし世の中は、強者の論理で動いていたり、分かる筈が無い弱者の事を強者の頭で考えているのです。
そして弱者も、強者の論理の教育を受け、身の程を考えず強者と同じ価値観で行いたがるのです。

前向きな過疎地域や、何故こんな所で営業できているの?という店は、弱者の論理を通しており、物も技術も持たない我々の様な中小企業も、そこを参考にすべきであり、ウエダ本社としてはそんな展開を図っているのです。

勉強会の翌日は朝一の飛行機で千歳に移動し、そこで又レンタカーを借りて、札幌と洞爺湖に行きました。

洞爺湖は、以前から話には聞いていて、”大地の花咲き”というドキュメンタリー映画にもなった佐々木ファームさんにお邪魔するのが目的でした。

14町(東京ドーム3個分)にも及ぶ広大な畑で、80種にも及ぶ多品種で完全無農薬農業を行なっておられる成功例などまず無いと思いますが、その想い、夢、今の展開などをお聞かせ頂き、思わず、協力させて下さい!と言ってしまう方に、又、会っちゃいました。

ホント何処へ行くんだろう?と思われそうですが、一人の時間も沢山取れて、今回は、自分では結構、考え纏められたと思っています(笑)

ここの所、ずっと停滞気味でしたが、再度、弱者の論理で貫いて、改めて挑戦していきたいと思います!


2016年8月21日日曜日

社員面談の位置づけ

盆明けの今週は、社員面談でした。

当社は8月が決算の為、今期の振り返りと、来期の目標、役割の摺り合わせを行うのですが、この間にも、外部の会議や、夜の会合などもあり、朝から夜までスケジュールがビッシリとなるのですが、私にとっては最も重要な仕事の一つであり、今回はそれがより重要なものになっています。

と言うのも今週には、一昨年まで専務を務めて頂き、今期は顧問として残って頂いていた方が勇退されるという大きな出来事もありました。

「事務機のウエダ」 京都では法人関係の方には、その様に認知して頂いて来た当社も、現在では、オフィスの移転、新築などでの空間設計、工事などの数字の方が大きくなっているのですが、元々はゼネコン、工務店さんの下請けで、オフィス内の工事を行っていた子会社と一緒にし、レイアウトから工事までを行うという特徴を一般企業(我々の業界で言う、直ユーザー)に向けて転換してきたのも、この方のノウハウと現場力があったからでした。

今でも、当社の代表例とも言える、ISFネットさんの青山一丁目のオフィスビルを全面的に行わせて頂く事になったのも、別件で来られた渡邉代表が、当社の考え方を気に入って頂き、帰り道に電話で、今、この様な計画があり、業者も決めかけているが、値段も含めて、その電話口でできるかどうかの即答を求められ、3分の1はハッタリで答えて、結果、当社がその仕事を受注させてもらえたのも、この方の存在があったからでした。

又、組織体制面でも、平均が30代のリーダー達で、特に厳しさという面において、しっかりやっていけるのか?最後まで心配して頂いていました。


ただ、これは急に起こった話でもなく、数年前から分っていた事でもあり、もっと言えば、この問題は、団塊の世代を中心に、今の日本の姿を作り上げて来られた方々が抜けてどうする?という、日本全体に共通した課題であると思います。

それだけにそれぞれが、目的、意志を持って、会社やチームと摺り合わせていく事が、より重要であり、そういう意味においても今回の社員面談は、私にとって、いつもにも増しての優先事項でした。

折しも、日本勢の活躍が続く、リオオリンピックでは、100メートルリレーで、日本がアメリカに勝つというとんでもない事が起こりました。

体力的に劣勢な日本人にとって、最も困難と言っても過言ではない100メートル走という競技でも、チームで団結すれば、能力が圧倒的上のチームにも勝てるのだという事を、まざまざと見せて頂いたのです。

個人では四人ともが決勝に進んでいないチームが、バトンを渡すという繋ぎの部分と、それぞれの役割を最大限に発揮すると、個人で素晴らしい能力を持った人を集めたチームにすら勝てるという事を見せて頂いたのは、日本人の特性と、特に、強いリーダーや、スキルを持った人が少なくなっていく日本において、大きな視座を与えてもらったのではないかと思います。

我々ウエダ本社でも、スキル、ノウハウを持ったベテランが抜けていかれた中、皆が自分の役割をしっかり認識し、周りの人と繋いでメダルを目指していきたいと思います。

その為にも、まだ面談は続きます。

2016年8月13日土曜日

”道”を極める

連日、日本人選手の活躍もあって、オリンピックも大変盛り上がっています。

そんな中、体操で金メダルを取った内村選手への質問に対しての、2位のオレグベルニャエフ選手、3位マックスウィットロック選手のコメントには沢山の方が取り上げておられると思いますが、感動もしましたし、色々学びがありました。

それまでの5種目で大きくリードしていたオレグベルニャエフ選手に対して、内村選手は最終種目の鉄棒で完璧な演技をし、終わってみれば0.1ポイント差の逆転となったのですから、オレグベルニャエフ選手の立場であれば、あの採点はおかしいと言っていても良さそうな所、そこに水を向けた記者に対して、内村選手の凄さを説明し、無駄な質問と切って捨てたのです。

そして3位のマックスウィットロック選手までもが同様に称えたのですから、三人のそれぞれの人間力に一流を感じました。

プロゴルファーのタイガーウッズ選手が、優勝を争っている相手のパットを”入れ!”と願うという有名な話もありますが、これも相手のミスを期待するのではなく、相手がどうであろうと、自分が入れて勝つという強いメンタルを維持する為のもので、この感覚が一流の証だとも思いますが、オレグ選手のコメントにも同様のものを感じました。

又、内村選手は、ライバル選手が尊敬する程、常に素晴らしいパフォーマンスを見せているので、この微妙な判定がどうだとかというレベルを超えた存在となっているのだと思いますし、こちらも先日メジャーリーグで3000本安打を達成した際の、大物選手達から称賛されていたイチロー選手の姿と重なりました。

とかく我々は、負けた理由や、失敗した理由を見つけて正当化したくなるものですし、”あいつはいいよな~、えこ贔屓してもらって、などと言って、自分を慰めてしまいます。

又、なかなか自分の実績を分かってくれない周りに対して、自分がやった!と誇示したくなったり、言う事を聞いてくれない部下などに対して、力で言う事を聞いてもらおうとしてしまいがちです。

でも、あいつはいいよな~などと思っている間は、とても一流にはなれないし、ひょっとすれば勝っていたかも知れない相手が、負けを認めてしまうくらい、圧倒的な差や、人間的にも尊敬を得られる様になりたいなあと感じました。

スポーツだけでなく職人技など、一つの事を突き詰めていくと人間も磨かれ、何故これだけ立派になるのだろうと感心させられる人がいますが、道を極めると精神修行されていき、人格も磨き上げられていくのだと思いますし、それが、”〜道”というものなのだと思います。

経営を行っていくのが一番の修行になると、稲盛さんはよく仰いますが、そこまで極めているか、研ぎ澄ましているかと言われると、全然できてないですね。

他人を利用してうまくやっている人を見ると、ずるい方が得する世の中なのか?と思ってしまったり、あの業界や、あの規模や、あの位置があれば、自分も色々できるのになあと妬ましく思ってしまう事も、正直言えばまだあります。

超一流のアスリート達の人間的な格好良さに少しでも近づいていける様、社長業で修行を重ねて、”道''を極めていきたいと思います。





2016年8月7日日曜日

お・も・て・な・しの語源

リオオリンピックが始まりました。

絶対間に合わないと懸念されていましたが、表面上はトラブルも無く、見事な開会式も行われていました。

悲観的なのか、減点主義的なのか、良い面では、きっちりしている、細部まで拘る、という性質からか、日本人の感覚ではあり得ない、出来っこない話が、実際はできてしまう光景を見ると、色々と考えさせられてしまいます。

細かな問題はあれど、それ以上のパフォーマンスを上げれば隠れてしまう、やりゃいいじゃない?という南米的なのか、大陸的なのか、そんな感覚があるではないか?と思います。

次回のホスト側の知事として、土壇場でバタバタとした都知事選も終わり、結果的には初の女性都知事が誕生しました。

その都知事にも相変わらず、ファーストクラスで行くのか?スイートルームに泊まるのか?と下らない質問や、それを取り上げ議論するテレビなど、全体を見る事や、論理的に整理して考えるという事が、日本人はいつからこんなに苦手になったのかと思います。

私個人は、貧乏性にできているのと、社長だからという特別扱いが嫌いなので、基本的には新幹線でも普通車、海外出張もエコノミーで行っていますし、会社に来る社長宛ての贈り物も、それらはウエダ本社の社長に贈られる物で岡村個人の物ではないからと、社員に全て分けています。

しかし、一般的には、TOPは成果を上げる事が仕事なので、ファーストクラスやスイートルームでも、その環境だからそできる仕事であるなら、堂々と取ればいいいと思います。

その問題と、前知事の様に、家族の食事や旅行に当てていたという問題は全く別で、それをごっちゃに論議する事が馬鹿馬鹿しく、見識のある方でも平気で、あんな少額で問題にするのはおかしいと言っている人もいたりします。

又、片側で揚げ足取りの様な感覚があるかと思いきや、当初7000億強の東京オリンピックの予算が、2兆とも3兆ともに膨れ上がっているとの話ですから、きっちり細部に拘りながら、全体は結果次第という、バランス感覚のはちゃめちゃさに呆れるばかりです。

これはグランドデザインが描けず、強いリーダーシップも無いまま、問題に蓋をしながら、細かく真面目に仕事を行なっていった結果で、日本人の典型的な悪い例だと思います。

我々の会社でも、似たような話はよくありますので偉そうには言えませんが、日本人の真面目さを生かす為にも、しっかりとしたグランドデザインが必要で、それに基づいた論議をしていかなくてはなりません。

お・も・て・な・しは、東京開催が決定した際、海外でも有名になりましたが、おもてなしとホスピタリティーの違いも考えてみると日本や、我々自身もやるべき事が見えて来ます。

おもてなしは、来られる客人を想定して、その人に喜んで頂く、最大限に満足を感じて頂こうとするものであり、しかもそれを主張せず、もてなす相手に余計な気遣いをさせないというものです。

それに対してホスピタリティーの語源は、病院やホテルにも繋がるホスピスであるという事は知られていますが、ホスピスの語源には、見知らぬ者という事もあり、文化人類学では、部落の外からやって来た見知らぬ者を最大限に歓待する事であり、それは気前の良さで客人を恐縮させるという力の誇示なのだそうです。

そういう意味では、今回の開会式もホスピタリティーが高かったのかも知れません。

東京では、今の状況からでも、SELFLESS HOSPITALITY(無私のホスピタリティー)と訳された、”お・も・て・な・し”のオリンピック、パラリンピックを開催していかなくてはならないと思いますし、マスコミ、国民側も、下らない事を突いていくのではなく、”何をもって何を成すのか?”という、おもてなしの語源を考えていきたいものです。

そして、うちの会社も、見知らぬ人に向かうホスピタリティーではなく、想定したお客様に、SELFLESSに対応する、お・も・て・な・しを習得していきたいと思います。