2016年11月13日日曜日

トランプ大統領を生み出す「長波」とは

米国大統領選の感想について、今までFBでも何も書いていなかったのですが、その事に気づかれて、『待ってます』と言って頂く、マニアックな方もおられました(笑)ので、今週は、思っていた事から書きたいと思います。

意図的なマスコミの報道があると言いつつも、私もやはりクリントンさんが勝つと思っていましたし、その方が”マシ”だと直前まで思っていました。

しかしギリギリになって、拮抗しそうになってからは、これはどちらにしても今回の溝や、内向きさ、人権に関した過激な発言などへの流れは止まらないので、クリントンさんが勝ったとしても、かなりマズイ状況だと思う様になり、トランプ氏が勝った頃には、かえって思い切り変わらざるを得ないので、劇薬とも言われる様に、長期的に見ればズルズルと変わり切れないよりは良かったのかも?と思う様になりました。

当選してから、暴言を控えているところを見て、あれは戦略だったとか、マスコミが助長していたとして、トランプ氏を擁護する様な人もおられますが、どう割り引いても、ある発言を一部だけ切り取ってマスコミが偏向報道したものとは全く違って、人格からストレートに出ているものだと思いますし、何せ米国の大統領ですから、やはりその頂に座る人の人格としては、物分りよく認めるべきものではないと思います。

しかし同時に、それでもそこに流れつかなくてはならない、従来型の仕組、力、そしてそれで選ばれるリーダーに対しての批判である状況と、そこまでの状況に気づかなかった、或は、気づきながらそれを又、従来型の力で覆ってしまおうとした勢力の、大きなギャップを目の当たりにした事の方が恐ろしく感じました。

そういう意味で、そのギャップ、亀裂を生んだまま、クリントンさんが従来型のモデルで展開するよりも、トランプさんが、そのギャップ感をあぶり出し、従来型のリーダーではできない新たな展開をした方が、長期的に見れば良かったのか?となる事を期待したいと思います。

ただ一点だけ期待を感じたのは、スピーチなどを聞いて、彼が”やる”と言った際の感じ方が、あれだけの実業家だけに、従来の頭だけのエリートが言った際とは違って、ホントにやるかも?という気になる所です。

勿論、それが悪い方向で行かれたら、どうしようもないのですが、何とかそれが、良い方向に向かわせてくれる事、それを願うばかりです。

「仕事に効く教養としての世界史Ⅱ」で著者の出口さんは、アメリカ大陸を舞台に交流が始まった16世紀を取り上げた二人の学者を紹介されています。

一人は歴史を、表層に登場する出来事を「短波」、王朝の興亡や宗教の発展や戦争などの「中波」、自然環境や、地理的条件、死生観や人情など、ゆっくりとした変化しか起こさない「長波」に分け、中波と短波が重なり合って、変化を生み出す様に見えているけれど、時代が大きく変化する時には、その深層にある長波を見なければならないとしたブローデルと、世界を中央、半周辺、周辺と区分し、それらの分業体制によって世界が成立しているとしたウォーラーステインが、共に16世紀を中心に自らの学説を展開したのは、16世紀が激動の時代であったからだと書かれています。

コロンブスがアメリカ大陸を発見(正確には到達)した事により、世界が繋がり、大きく世界システムが動いた16世紀から、その後世界の中央に君臨するアメリカが、今回の大統領選挙から21世紀をどの様に進んで行くのか?

トランプ大統領誕生という「短波」がアメリカの興亡や、紛争などの「中波」とどう重なっていくのか、
我々が生きている時代に、不名誉な戦争を起こさない為に、トランプ現象を生み出す自然環境や、気候、日常生活を支える死生観などの「長波」から見直さなければならないと思います。



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