2016年10月29日土曜日

May I help you? のスタンス

今週は、ユニバーサルマナー検定と、知恵の場で、色々学ばせて頂きました。


社員と共に受講したユニバーサルマナー検定は、今年の京都流議定書にも登壇頂いたミライロの垣内さんが作られたものですが、ユニバーサルマナーとは、”自分とは違う誰かの事を思いやり、適切な理解の下、行動する事”というもので、特に障がい者向けのものではなく、全ての人がその様に対応できれば、素晴らしい世界になるというものです。

聞いてはいたのですが、改めて受講すると、目から鱗の話も多く、当社でも是非、全員に受講させたいと思うものでした。

左利きの人は全体の約10%らしいですが、障がい者は6%と、それだけを見ても障がい者は特別な存在ではなく、障がいは人にあるのではなく、その環境にあるのだという話は、腑に落ちました。

それだけに、ハードも重要だがハートを変える事と、他を思いやる行動や環境を作っていこうとしておられるのです。

その中で日本は、”無関心か過剰か”の、おしい現状であるというお話も、うちの会社でも、あるなあ~という、現在の日本人の距離感を感じました。

あくまで善意で、喜々として”やってあげる”人も、よく見かけますが、そもそも”やってあげている”と思っている時点で、キツイ言い方をすれば、善い事を行っているという自分スタンスで、相手の立場には立てていないと思います。

仕事でも、どんな人間関係でも、うまくいかない原因の多くは、この、やってあげてるのに~という過剰なところと、やってくれない、もしくは、自分の領域以外は関係ない、という自分スタンスから生まれているのではないでしょうか?

今週から始まった知恵の場の一回目のゲストは、新幹線の伝説のカリスマ販売員茂木久美子さんでした。

売上平均14万と言われる中、53万もの売上を記録されていたそうですが、当初は全く何をやってもダメという人だったそうです。

自分が売る事しか考えていなく、自分の店(販売カート)を見てくれているお客様しか見ていなかったのが、声を掛けられる存在になろうとした所から変わったとの事でした。

その後は、標準語でのマニュアル接客を止め、山形弁(山形新幹線)で、雑談接客を心がけ、徹底的にお客様の様子に注目する様にされたのです。

又同時に、お客様に向き合う時間を捻出する為に、一番時間をロスする、つり銭を渡す作業を神業的に短縮し、お客様の様子を見逃さない為に、1300名の販売員の内、数名しかできなかった、後ろ向きにカートを引っ張る販売法で、これも通常は3往復程しかできない所、7往復をして、お客様との関係性を高めたとの事でした。

正に、うちの会社でも、営業にずっと言っているポイントばかりでしたが、カート一台の販売で、それだけの工夫と、努力ができるのですから、こちらも営業全員に聴いてほしいお話でした。

障がいのある方と会った際、無関心か過剰か、の対応ではなく、まずはお手伝いできる事ありますか?という姿勢が重要だという事でしたが、販売でも我々の営業でも同様で、自分の商品を売りつけるのではなく、やはり、お役立ちできる事はないでしょうか?というのが、全ての基本だと思います。

利己、利他という話もよくありますが、人間関係においても、May I help you?というスタンスが、一番良い距離感ではないかと思います。

2016年10月22日土曜日

本物の要諦


今週は、ネタが多すぎて却ってブログに書くのが難しい状況です。

毎日、講演などでも沢山の人を集める様な方々がお越し頂いたり、個別にお会いしたり、時には、期待して頼み事をして頂いたり、”濃密”さを感じる事ができる時間を過ごさせて頂きました。

色々話したい事はありますが、やはり、我々の考え(ビジネス)に直結した話として、堀場製作所さんの滋賀工場の話は書かないわけにはいきません。

ずっと噂に聞いていましたが、今回はいつも勉強させて頂いているクオリアの会での訪問でしたので、恵まれた事に堀場社長の説明付きでした。

琵琶湖に面した10階建ての通称 E-HARBORは、今まで7~8割の生産が外部にあったものを、協力会社さんにも入ってもらい、一貫の生産ラインとされた事や、実車が持ち込まれた自動車開発試験ができる実験ラボなど、”ものづくり”においての効率性、技術力、総合力を進化させる設計となっていました。

しかし、それよりも私が驚いたのは、オフィスについての考え方でした。

よくある日本の工場は、オフィスなどについては、本社などよりも更に付属的なもので、お金はかけない所が殆どですが、ここでは、元々京都で勤務していた社員の方が、こちらに移る事になるので、皆が行きたがる工場にしないといけないと、徹底的に社員さんの立場を考えてお金もかけておられました。



ただ一点、社員さん達に強いておられるのは、10階建てでありながら移動は全て階段という事で、これは、堀場社長自ら本社で感じておられた事を元に、コミュニケーション、情報伝達を重視しての大きな仕掛けでした。

それだけに驚きは、全くオフィスについて指導した会社があるのではなく、全て社員で考えたとの事なのですが、オフィスにおいての必要な肝が全て押さえられているのです。

生産ラインの所は、トヨタの渡辺元社長には、駄目だしをいくつもされたとの事でしたが、私の推測では、トヨタさんは、もの作りについて、効率化という事においては世界TOPでしょうから、そこは進んでいるにしても、オフィスの所で、この様に人の心理やモチベーションまでを考えたものにはなっていないと思います。

という事からしても、人をベースとしながらのグローバルにも通ずる製造という点において、トータル面ではTOPの工場と言っても良いのではと思うほどでした。


そこには、精密機械を作っておられながら、機械だけでは差がつけられない、商品はそれを作る人々、伝票を発行する、梱包をするなど、関わる人々のトータルが商品力であると言われる堀場社長のお話しと、その通りの実践の姿を見せて頂くと、どこからどこまでも本物だな~とつくづく感じます。



今週は、サイボウズさんにも訪問させて頂きました。


働き方変革において、やはり本物を感じていたのですが、考えている方向が同じで、オフィスのコンセプトも全く同じでした(残念ながら、お金の掛け方の桁数が違いますが)が、その展開も頷く事ばかりでした。





今週も関わっている幅は大きかったのですが、木曜日の朝には、京都で限界集落の話、お金に頼らない新たなモデルについてのミーティングをしながら、夜には六本木ヒルズの52階展望台での夜中までのパーティーに参加していました。

折しも横では映画「ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期」のイベント開催でレニーゼルヴィガーとパトリックデンプシーが登場していましたが、このどちらもが今の日本の姿なのです。

そして過疎地域も一見華やかな人が密集している東京でも、人の繋がりを求めているのを感じますし、最近東京も大きく変わり出している様に感じます。

どんな産業も、どんな時代も地域も、人をベースに考えるのが本物を外さない要諦なのだと思います。

そう信じて、中小企業の働き方の変革を本物で取り組んでいきたいと思います。

2016年10月15日土曜日

東京三日間で感じた使命感

今週は、ブロックスさんの第17回日本を元気にするセミナーに参加してきました。

毎年、京都流議定書もご協力頂き、京都での試写交流会や知恵の場関西も一緒に運営させて頂いているブロックスさんの一番のイベントですから、そりゃ参加しないと!と行ってきましたが、実は三年振りでした。。

経産省でも、おもてなし企業やホワイト企業などを表彰する他、ソーシャルビジネスというものには大手まで、こぞって参入している時代ですが、17年も前から良い企業、利益のみを追求するのではなく、人や地域を大切に考える会社を追いかけ続けておられるのですから、この世界の老舗と言っても過言ではないと思います。

三年振りに参加すると、午前中の大久保寛司さんのセミナーも、百数十名の参加者の中、半分以上が初めて話を聞くという方だった様に、参加メンバーも変わっているというか、広がっている様に感じましたが、これだけでもブロックスさんの功績は大変大きいと思います。

そんな今年のテーマは「使命感」 

”良い会社オタク”と私は評していますが、西川さんらしいディープなテーマで、

バグジーの久保さんは、時間を何の為に使うのか?を考えている人が使命感を持っている。
使命感は限られた時間の使い方だとして、”人の喜びで生きていこう”と決めた所から現在に至るお話をされていたり、西精工の西さんも、”社員を幸せにする使命感”で展開しておられる事例をいくつも話され、考えさせられました。

使命感と責任感の違いは?という問いかけから、セッションはスタートしましたが、私自身、ディープな話で言えば、使命感での仕事をする事が生きる目的でもあるのに、まだ、命を使うという仕事にする事ができず、責任感でのオペレーションレベルの仕事しかできていない様に感じました。

大手広告代理店での自殺問題から、長時間労働がより問題視されていくと思いますが、長時間労働が問題ではなく、そうせざるを得なかったり、組織、人、社会、の価値観の方向づけが違っていっている所が問題なのですが、昨今の日本の風潮では、労働が悪いものとして、若い世代に植え付けられていく事が大変恐ろしくも感じます。

日本の自殺の特徴は50代の男性が多い事が世界でも異例な様ですが、これから想像できる事も長時間労働自体が問題というよりは、教育費、住宅ローン、会社での責任か、もしくはその反対にレールから外れたかの境遇など、想像しただけでも息苦しくなる構図が浮かびます。

今週は久しぶりに三日間東京に滞在し、色々な方とも会いました。

ある大手設計事務所にも訪問しましたが、その受付では、正に大手企業のスーツを来た方々が千客万来で賑わっていました。

我々も、オフィスにおいてですが、工事などを行っている立場からすれば、こんな大手の設計事務所などに出入りできるものではないのですが、そんなヒエラルキーとは関係のないところで、ご案内をして頂いており、ここでも日本の大企業のカッチリとした息苦しさと、違う潮流の様なものを感じていました。

クラウドファンディングではTOPというより、実質日本でクラウドファンディングを広めた、READY FORの米良さんとも会っていました。

私と会う前日の夜は、ある大臣からヒアリングを受けていたそうですし、私とのミーティングが終わった後は広島に来日中のコトラー教授に会いに行かれました。

そんな彼女から相談したいとの事で会ったのですが、若干28歳、今や社員50名以上の会社になり、最近の悩みと今後の展開を聞かせてもらったのですが、昨今のソーシャルで持て囃される事にも浮かれず、会社の課題に対しての対策と仕組化など、経営者としても既に的を得ているのに驚いたと共に、それこそ、使命感からか、東奔西走している姿が美しく感じました。

業界であれ、政界であれ、ヒエラルキーの中で日参して順番で並ぶような世界ではなく、多様な価値観の中で、それぞれが、自分で働き方や時間の使い方を決めていければ、ストレスは全く違ったものになりますし、フロー状態で仕事も行なえば、楽しくってしょうがないという事になると思います。

国も色々考えている間に、本末転倒な事になっていかない様に、働き方の変革、働く事や、仕事に対しての閉塞感を無くしていく事に、私の命=時間を使っていきたいと思います。

2016年10月9日日曜日

多様性と働き方の変革

今週から10月がスタートし、月曜日には企業では内定式が行われました。

大企業では何千人、何百人の内定式が行われたという記事を見ると羨ましいですが、うちの会社では一人の新卒者が決定しており、細やかながら朝礼に参加してもらって内定書を渡しました。

と言っても、実は新卒採用で採った訳ではなく、来年、結婚して関東へ行く為に退社する事になるデザイナーの後任で紹介を受け、採用する事にした女性がたまたま新卒生だったという事であり、うちの会社はまだ新卒採用も継続中ですので、良い人が居ればドンドンご紹介下さい!

この一件、うちの会社の現状の良い面と課題とを表しています。

まず良い面で、採用についてはここ数年、殆ど新卒採用活動を行なわずに採用しています。

毎年、一人、二人しか採れないという事もあるからですが、会社説明会を開き、広告媒体などにもお金を使ってという様な事を一切せず、入りたければ自分で調べて来て下さい、という高飛車な姿勢を取っていたり、ここ数年、京産大、工繊大、造形大のそれぞれの分野で著名な先生方からご紹介頂いており、本当に苦労せず、価値観に合った人が入ってくれています。

色々とビジネスに関係ない様な事ばかりに関わっているので、何の為にやるのか?などと聞かれますが、一番分りやすい対価?としては、我々の様な中小企業が、毎年、学校の成績だけではない”優秀な”学生を採用しようと思うと、どの位の費用が要るのか?と考えると、これだけでも計り知れない価値が生まれています。

それこそ目に見えない資産が、この費用を補ってくれているのです。

しかも有り難い事に、数年前から留学生を採りたいと思っていたのですが、今回入社してくれる学生は台湾からの留学生で、これも労せず、実現するのです。

課題の方は、退職する事になるデザイナーは、”仕事も面白く、会社も辞めたくない”と、プロポーズの返事を待ってもらった程悩んだとの事ですが、折角、そこまで思って働いてくれている女性が、結婚相手が遠方である為だけで辞めなければいけないという勿体ない話で、働く環境の総合商社を標榜している我々としては、中小企業に共通する壁として崩していかなくてはなりません。

今週、働き方変革EXPOでは、元日本IBMで初の女性役員であった方の講演を聴きましたが、IBMが最大の赤字を出し、倒産の危機と言われた1993年にCEOとなったガースナー氏が、その危機を救う為に取った戦略がダイバーシティ―であり、ダイバーシティ―を進めようとすると働き方の変革が必要だと、多様性の第一歩として女性活用を推進したとの事でした。

女性が活躍する社会にしていく為には、どうしても、在宅勤務、遠隔勤務をできる体制を作っていかなくてはなりません。

それには単に仕組を作れば良いのではなく、周囲の人の考え方から変えていかなくてはなりません。

その為には、皆が同じ仕事をするという様な時間制の仕事ではなく、それぞれの人がそれぞれの役割を持ち、それぞれの価値を出していくという働き方に移行しなければなりませんが、まず会社のカルチャーを変えていかなくてはなりません。

多様性というのは、それを最も表していけるカルチャーなのですが、うちの会社も今年の高卒の新入社員、そして来年は留学生の新卒者と、少しづつ進めて参ります。

そして、直ぐできる仕組みから導入し、順次発表もしていきますので、働き方変革を目指しておられる企業の方は、ちょこちょこと、チェックしておいて下さい!


2016年10月2日日曜日

『経営力』

先月の吉野家ホールディングス安部会長の「私の履歴書」は、毎日楽しませて頂きました。

高卒でミュージシャンを目指し、アルバイトから入られて昇進していかれた吉野家はある日倒産、その処理役として皆から推されて社長になられた後も、BSE問題、親会社都合の中での経営のお話は、ドラマの連続であり、机上の経営学にはない”実学”がありました。

波乱万丈が良いとは限りませんが、勝負して来られた方のお話は、話だけ、文字だけでも、その情景がビジュアルで浮かび上がってくる深みがあります。

個人的な感覚かもしれませんが、私が魅力を感じたり、尊敬できる方のお話にはこのビジュアルで浮かび上がってくるという共通項がある様に思います。

又一方、難しい事をシンプルにできて、実績を示せる人にも憧れを持ちますが、今週聞いたカルビーの松本会長の経営論と、それをコミットして実践されているお話しは、何度か聞いているのですが、改めて経営の”プロ”というものを痛感させられました。

経営とは、全てのステークホルダーを喜ばせる事である。

その為には、  1、世の為、人の為にならなくてはならない

そして、         2、儲けろ!

それだけだと仰います。

これを実現する為には、結果に対して厳しい、しかし温かくなくてはいけないので、社員一人一人が成果を出す為に、環境と制度を整える事、それがマネジメントの仕事だと。

そんな感覚で全てを展開される説明は至ってシンプルで、

・メーカーは儲ける為には、工場の稼働率を良くする事だけ。

・投資は使え、経費は使うな。

・仕事を、①やらなくてはいけない仕事、②やった方が良い仕事、③やらなくても良い仕事に分け、
 ②と③はやるな。

・ダイバーシティ―は長期の投資であり、成長へのエンジンである。

などなど、厳しさと人間尊重の優しさが見事にバランスされているのです。

そして我々に関係する、オフィスについても、

人間は環境に影響される動物である。
オフィスは考える場所であり作業する場所ではないとの事で、実際、それまでコミュニケーションも取りづらかった縦長ビルから、80m×50mの1フロアに移した、と、カルビーの改革時には、オフィスを改革したとの事でした。

ソーシャルビジネスと、もてはやされ過ぎている昨今、新たな視点を持った優秀なイノベーター達が、結局は形は違えど、お金や力に群がって行ってるいる様に見えるのですが、折角の思いや能力で、自らの力で切り拓いて、”儲ける”という、『経営力』を目指して欲しいと願います。

私自身も、ソーシャルビジネスと関わってきましたが、これからはその『経営』力を意識して、実績を出し、自分の役割を果たしていきたいと思っています。

安部会長が親父と慕われた、吉野家の創業者は、”人生55歳からが勝負だ、その為に20代、30代、40代の生き方で花が咲く”と、言っておられたそうですが、私自身、40代までの生き方は変える事ができませんが、55歳から花咲ける生き方を意識していきたいと思います。

まだその蕾は固そうですが^^;