2016年5月28日土曜日

”人として”選ぶリーダー

今週は、伊勢志摩サミットがあり、オバマ大統領が広島訪問をされた事が話題となりました。

謝罪は無かった事や、ノーベル平和賞に関連してのポーズと言われたりもする様ですが、米国の現職大統領ですから、我々では想像もできない抵抗や、障壁があったでしょうし、それを押し切り、又、周到な準備を積み重ねてわざわざ行かれたという事には、”人として”、魅力を感じました。


一方、4年後には、オリンピックの開催地のホストとして、世界の人々をお迎えするかも知れないTOPの方は、法的にどうか?という問題ではなく、”人として”どうか?という話であり、早くに責任を取って辞めてもらいたいと思います。

よく大臣などの不祥事が出て、辞めて責任を取った事にするというケースがあり、それと同様に、辞めさせて又選挙でお金をかけるべきではないという人もいますが、選挙で団扇を配ったとか、選挙資金を貰ったという話とは全く違う、そもそもの”人として”の問題ですから、そんな”人”が職務を全されてもも都民は困る話だと思います。

カルビーの松本会長は、1ダラーアウトという事で、1ドルであっても不正使用があれば即刻クビと明確にしておられますが、私もよく社内では、1円でも駄目なものは駄目という話をします。

金額の大小ではなく、1ドルであっても駄目なものは駄目なのですが、特に最近の日本では、問題を混雑させて論議していたり、質と量(数)も分けて考えられなくなってしまっている様に感じます。
これも全てを数値化して数の大小で評価する様になって、質を見れなくなってしまったからではないでしょうか?

自戒を込めてTOPは、”人として”どうか?が重要だと思いますし、働く人や、市民、国民は、やはりTOPの理念、価値観で選んでいくべきだと思います。

”人として”の魅力を見せたオバマ大統領の後、アメリカ国民には、自分達のTOPは世界に影響を及ぼすTOPだという事を意識して、冷静に選んでもらいたいと切に願います。



2016年5月22日日曜日

人的資本バブル

今週はバブルでした。

と言っても金融のバブルではなく、凄い人達とお目にかかったり、お越し頂いたりという人的なバブルでした。

まず、何と、木曜日には田坂広志さんがウエダ本社にお越し下さいました !

ダボス会議を始め、世界のTOPリーダー達とも議論され、多くの経営者達が講演や塾などに押し寄せているという方が、わざわざ訪問をして頂けるという有り難い事だったのですが、昨年京都流議定書の基調講演をお願いした際から、我々の様な中小企業が、こんなイベントを継続して行っている事に関心を持って頂いての事でした。

マンツーマンで二時間以上もお話しさせて頂いただけでなく、今後の我々の取り組みも応援してやろうという有り難いお話しでした。

その日の夜は、高野登さんがルクロ本店に来られるというのを黒岩さんから聞いていたので、私も混ぜて頂いたのですが、寄田先生もお越しになられて、元リッツカールトン、ヨリタ歯科、ルクロという豪華なメンバーでのディナーでした。

翌日は、伊那食品の塚越会長や、沖縄教育出版の川畑会長もメンバーのトップフォーラムという勉強会が小倉であり参加していたのですが、同じ日にウエダ本社では、大久保寛司さんが来られるセミナーも有ったのに参加できないという勿体ない話で、この二日間は、経営品質、ホスピタリティー、人的資本という事において日本でTOPという方々と交差するバブル期でした。

今回の勉強会でも、九州を地場にするハローデイというスーパーの加治社長と、元はこのメンバーでもあったシャボン玉石鹸の森田社長のお話しでしたが、人的資本、理念経営について改めて勉強させて頂きました。

地場で活躍するスーパーという事でしたので、小規模なイメージと、ローカルに拘ったビジネスモデルでの成功のお話しかと思いきや、従業員数約5000名(内パート3700名)、50店舗で売上約700億という規模でありながら、徹底的にスタッフの人間教育を行ない、パート社員中心でも如何にお客様に喜んで頂くかを追求して、日本一視察が多いスーパーを作り上げておられるお話しで、人的資本を形成していくと、実際、会社も良くなり、業績も良くなるんですよ!と見せつけられた感じでした。

又、倒産寸前から引き継がれた私と同い年の加治社長の経緯は、規模は違えど似ている所が多く、うまくいかなかった間は自分が一人で責任を負っていたつもりで、皆がついて来なったが、そんな中でも残ってくれた仕入れ先、社員さんなどに感謝し、その感謝が伝わっていく様に、感謝をする、される経験を皆に積ませていくと、会社の空気が変わったというお話しは、ドキッとさせられたと共に、途中まで同じ感じでありながら、現在の差の原因が明確になりました。

無添加石鹸で有名なシャボン玉石鹸さんは、1974年頃、月商8000万あったものを全て無添加に切り替え、売上は一気に78万、社員は100人から5人となったそうです。
その後17年連続赤字でも、世の中に必要な物を追求されて18年目でようやく黒字化、今やウイルス対策や、水の有効利用など、思わぬ方向にまで研究が進んでいるという、時代の方が漸く追いついてきたという会社ですが、如何に理念、使命が大事かという強烈な例を見せて頂きました。

勉強会の翌日は、前回福岡で講演した際のご縁から、消滅する町と言われる大牟田で、やはり人の繋がりで町づくりをされている冨山さんにご案内頂きました。

ゆっくりもしたかったのですが、一度熊本にも入りたかったので、わがままを言って慌ただしく案内して頂き、これも数時間しか居れないので、何人かの方に見るべき所を教えて頂き、熊本を回って帰って来ました。

いつもいつも、人の繋がり、縁の話をしていますが、今週は本当にそのバブルの様な週でした。

金融資産は、バブルと言われる通り、泡と消えましたが、これら人的資本は消えるどころか蓄積されていくものです。

何故、田坂広志さんがわざわざお越し頂けたのか?

面白いと言って頂く京都流議定書というイベントも2、3年やっていただけでは、そんな事にはなっていないと思います。

9年も継続して来たからですが、それも継続してご協力頂く皆さんがあっての事ですし、それを作り上げてくれているスタッフのお蔭だという事、又、業績は恥かしいレベルではありながら、実質無借金状態で、イベントを継続できるレベルでやれている事に改めて感謝して、これからも人的資本を増強していき、その人的資本を使って、色々な領域、地域で価値を創り出していきたいと思います。

シャボン玉石鹸さん、今度は改心した気持ちが続く、心を洗える石鹸を開発して頂けないでしょうか?




2016年5月14日土曜日

信頼資本のタックスヘイブン

今週は久しぶりに東京出張もあり、ISLの野田社長、クラウドワークスの吉田社長、JINSの田中社長など、素晴らしい方々の所に、それぞれ別の用件で訪問させて頂きましたが、それぞれの皆さんの能力、構想力、そして、それを具体的な形にしていく実行力を感じ、大変刺激を受けて帰っての翌朝は、クオリア朝食会でした。

堀場最高顧問にご指導頂いてきたクオリアですが、お亡くなりになられた後、大変有り難い事に、息子さんである堀場製作所会長兼社長の堀場厚氏に引き継いで頂く事となり、初めての朝食会でした。

以前ブログにも書いた事がありますが、私は日本の企業において、親子間でこれだけ見事に、そのフィロソフィーを引き継ぎながら、別々の卓越したキャラクターを生かして発展されたという点で、最も見事な成功例だと思っています。

堀場雅夫氏、ワコールの塚本幸一氏、オムロンの立石一真氏、京セラの稲盛和夫氏など、京都には強烈な創業者がおられ、それこそ、堀場雅夫氏には、”自分達は会社の経営もさることながら、天下国家を考え、その為に協力して行動してきた。経営者たる者、そうあらなくてはならない”と、ご指導頂いて来ましたが、その一世代下の経営者の方で、私塾の様に下の経営者を指導されるケースはあまりなく、堀場厚氏も初めてだと仰っていました。

今や社員約7000人の内、4200人が外国人というグローバル企業にされたのは厚氏ですが、管理できる日本人に対して、狩猟型である欧米人を管理という意味ではなくマネージするには、”この人について行く”と本能的に思われないといけないと仰っていました。

そして、そんな風土を作るにも、その中で活躍できる日本人も育てるにも、一朝一夕にできるわけではなく、そう考えると、やはり会社の資産は人財しかなく、企業の強さはお金で買えないものをどれだけ持っているか?だというお話でした。


グローバルで大企業なのに、良い意味で中小企業的な風土、おもしろおかしくの社是の通り、自由闊達な雰囲気と団結力、様々なものが何とも言えないバランスがある様に感じるのは、厚氏曰く、マニュアル化されない事にどれだけ投資できているか?という事で、継続して行って来られたからだと思います。

稀代の親子名経営者にこんな形で勉強させて頂ける事、様々な方の繋がりから東京でも、素晴らしい方にお会いできる事、私にとってはこれらも、本当にお金で買えない資産だと思います。

こんな帳簿に載らない簿外の資産を集める、そんなタックスヘイブンを作っていきたいものです。


2016年5月8日日曜日

79年目からの足跡

今週はGWの合間の出勤でしたが、5月1日は78回目の創業記念日でした。

日曜日でもあり、79年目という事で、特段何もしていなかったのですが、FBで上げていると、色々とお声掛け頂く事も多く、積み重ねの重みを改めて感じていました。

自社の事であり、特に100年企業が1000社以上存在する京都では、79年目というのも目立つもの
ではないので、あまり意識していなかったのですが、先人達から継承された一日一日の積み重ね
の結果であるのですから、今居る我々もその重みを感じて、自分達の足跡をそこに積み重ねていかなくてはなりません。


新入社員も1か月が経ち、それぞれのキャラクターを出してくれていますが、今の所、働ける事が楽しい!この会社に入れて良かった!と言ってくれていたり、まだミスが許される間に克服したい!と積極的に電話に出てくれていたりで、皆に入ってもらって本当に良かったと思います。

誤解をされると困るのですが、我々の会社が素晴らしいと言っているのではありませんし、当たり前ですが、これから彼らも嫌になる事も沢山出てくるでしょう。

ただ我々は、でき得る限り、自社の大事にする事、価値観を発信し、それが良いと思う人に入って
もらいたいと思って、そこに一番時間と労力を掛けており、その事で少しでもミスマッチを無くしたいと思っているだけなのです。

又、ミスマッチを無くしたいというのも、決して会社側の都合だけで言っているのではありません。

大卒の新卒者が1年以内に10%強、3年以内では30%強、高卒者ではそれぞれ20%と40%の割合で退職するそうですが、人生において大変ウエイトの高い、働く事についてもっとしっかり考える事、勤める企業の価値観を見極める事は、それぞれの人にとっても大変重要な事だと思います。

ミスマッチを感じて、3年以内に辞めるのも、大変なロスですが、違う所で嫌々、やらされ感の中で
働いていくのも、両者にとっても大変大きなマイナスだと思います。

しかしその考え方も、あくまで私の考えであり、私が展開するウエダ本社として大事にしていきたいというものであって、企業によっては、大量に採用して、ふるいにかけて残る人だけが残れば良いという考えもありますし、それが間違いとも言えないと思います。

ただ、その考え方が主流を占めている中では、一人一人の違いを尊重して、その能力を伸ばして
いく世の中には向かいません。

ミスマッチを無くす為にも、自社の価値観をしっかり発信して、それに合う様な人を採用するという
姿勢の企業を増やしていく事だけでも、働くという事に対する考えや、まだまだその力が生かせていない女性、現在の枠組みで言うと障がい者と言われる人達の能力を生かせる社会になっていくと思います。

79年目から創業80年を目指していく我々が、そんな社会を広げていく為に
一日一日を積み重ねていき、100周年を迎える事ができれば、企業の価値観や日本人の働き方が少し変わったと言われる世の中になっていると思います。

79年目からも、一つ一つそんな足跡を残していきたいと思います。