2015年12月20日日曜日

ソーシャルビジネスから伝説に

今週は、知恵の場の二回目で、以前から”伝説”は聞いていた中央タクシーの宇都宮会長のお話を伺う事ができました。

そのままでは乗らない車椅子を分解して、着いた病院では又車椅子を組み立てて送り届け、料金はワンメーターなのに、それに要した時間は一時間半という様な信じられない”伝説”が数々あるのですが、凄いのは、その”伝説”を行った本人は全くアピールもされず、お客様からの感謝の電話や手紙などで、初めて分るという位、当たり前の風土になっている事です。

特にお年寄りや障がいを持った方などは、タクシーに乗られる際の、運転手さんの悪気はない、”早くしてほしい”的な無言の態度に、傷つかれる事も多いとの事ですが、中央タクシーさんは、どの方に来てもらっても皆さんが同じ様に、親切にされるとの事で、歩合給である中、何故、そんな”効率”の悪い、自分にとっては”損”な事を厭わず行われるのか?しかもそれが、会社の風土にまでできている所が、俄かには信じられない”伝説”です。

タクシー業界というのは、給料は歩合なので、会社側は車を増やし、ドライバーさえ雇えれば利益は出せる仕組みなのですが、それだけに、車は過剰となり、ドライバーは厳しい状況になるのですが、ただ、逆に辞めても翌日から他の会社で乗れるというのが業界の常識でなのです。
そんな中、中央タクシーさんは、中途採用は一切採らず、全て新卒で教育、それも人間教育をしていかれるのだそうで、結果的にはそれが大きな価値を生んでいるのです。

今週半ばには、ソーシャルイノベーションサミットが京都市で開かれ、全国から50以上の自治体関係者約200名が集まられました。

これは京都市の構想で設立された京都市ソーシャルイノベーション研究所が主催したものですが、
パネリストで参加された井上英之さんの言葉を借りれば、課題のある今の状況に気づいて、その対策をどの様にデザインしてビジネスで解決していくか?というのがソーシャルビジネスとの事ですが、それぞれの地域が、それを起点に立ち上がっていくべきで、その流れを、これ又パネリストでもあった門川市長のお話でいけば、明治維新で人口が激減した中、宝である子供を地域で育てれば未来は明るいと、町衆の力で番組小学校を設立していったという、正にソーシャルビジネスを行ってきた京都から、その精神を伝えていかなくてはならないという事でした。

大室所長も、小さい、町、村こそが、ソーシャルビジネスを起点に自立していくべきだとの想いを持っておられ、立場は違えど同じ未来像を見てお話もさせて頂いて来た事から、このサミットにKYOCAとしても関わらせて頂いたのですが、これだけ多くの行政の方がお越しになった光景を見て、確実に流れは来ていると感じました。

人間教育を徹底的に行って来られた中央タクシーさんが、異彩を放つほどの価値を創り上げられ、
苦境にたった京都が、立て直す為に、子供の教育を町衆で作り上げたという話は、人口減少社会に突入している日本が、どの様に進むべきかも、示唆している様に思います。

ソーシャルビジネスが全国で広がり、それを元に様々なものが生まれ、それに挑戦していく人がドンドン出て来る。

素晴らしい未来が想像できますが、それだけに、周りを巻き込み課題を崩していかなくてはならないソーシャルビジネスに携わる人には、ちやほやされても浮かれず、ひけらかさずという人間力を磨いて、”伝説”で語られる様になって欲しいと切に願います。

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