2015年12月27日日曜日

アナロジーと幸福の因子

今週、23日の祝日は、毎年恒例となった東京でのミラツクフォーラムに参加して来ました。

毎年、クリスマスの真っただ中の休日に、全国からこれだけよく人を集めるなあ、と感心しますが、
ミラツク、そして代表の西村勇哉氏の構想力、構築力、そしてその源泉の想いから生まれる素晴らしい場だからこそ、皆、集まるのだと思います。

落とし込み切れない程内容満載なのですが、そんな中、いつも分かり易く気づきを与えてくれる井上英之さんのソーシャルイノベーションのお話からは、ソーシャルという特別なものではなく、改めてビジネスや組織としての在り方を整理する事ができました。

とてつもない社会課題を解決といっても、途方にくれてしまいそうですが、そこに向かうにはアナロジーという過程が重要だという事なのですが、アナロジーとは、特定の物と別の物の似ているパターンを発見し、試しながらメタ化していく事であり、とてつもない問題も、身近にある似たパターンを割り出し、それに対して、うまくいく事を体験し、その体感を持って課題に向かっていくと動かしていけるというお話でした。

これは別にソーシャル、所謂、社会課題というものに限らず、それこそ身の回りで関わる全ての問題に適合する話で、私などでも、会社での、理念に向けて、実体との乖離をどの様に埋めていくか?という問題、リーダーを含めて、皆の成長に向けた成功体験を如何に作るか?という課題において、大変参考になりました。

”社会課題と人の課題をつなぐのがビジネス”と、同じくスピーカーで参加されたオムロンの竹林氏も仰っていましたが、これもよく言う様に、”ソーシャルビジネス”という言葉や、それを領域の様に取り上げている事がおかしく、本来は、ビジネスというものは、皆、社会や人の課題を解決するものである筈なのが、いつからか自分(自社)の為に稼ぐという事を追求してきた結果、一般のビジネスとソーシャルビジネスという別物になってしまった所が、現代の行き詰まりの原因だと思います。

アナロジーという事で考えてみて、自社を見た時、特に日本の社会では、自分の事ばかり、自分の収入や条件を良くする事ばかり考えている社員を、どの様に思うでしょうか?
又、そんな社員ばかりで、その会社は長い目で見てうまくいくでしょうか?
そう考えてみた時、日本の多くの会社は、どうでしょうか?

我々の会社は、社会においては、自社だけの利益を追求する様な展開はしていないつもりですが、逆に自社内で、まだまだそれがつながっていない状態なので、来年は会社の想い(理念)の小さな類似モデルを作っていきたいと思います。

同じくスピーカーであった幸福学を研究しておられる慶応大の前野先生は、幸福になる為の4つの因子 ①やってみよう因子 ②ありがとう因子 ③何とかなる因子 ④あなたらしく因子 というものを発表しておられます。
それは、そういう因子を持っている人の方が持っていない人より幸福感が高いという事であり、幸福になりたければ、それぞれの因子を高めていくという事なのですが、①のやってみよう因子を高めるにおいては、大きな夢と、目の前の夢、そこをつなぐ階段が見えている事が重要だというお話で、やはり、我々の会社では、ここの幸福感を高めていく事が、まずもっての課題だと、作るべき階段を示して頂いた気がします。

来年は、アナロジーと幸福の因子、これを意識して考えてみたいと思います。


2015年12月20日日曜日

ソーシャルビジネスから伝説に

今週は、知恵の場の二回目で、以前から”伝説”は聞いていた中央タクシーの宇都宮会長のお話を伺う事ができました。

そのままでは乗らない車椅子を分解して、着いた病院では又車椅子を組み立てて送り届け、料金はワンメーターなのに、それに要した時間は一時間半という様な信じられない”伝説”が数々あるのですが、凄いのは、その”伝説”を行った本人は全くアピールもされず、お客様からの感謝の電話や手紙などで、初めて分るという位、当たり前の風土になっている事です。

特にお年寄りや障がいを持った方などは、タクシーに乗られる際の、運転手さんの悪気はない、”早くしてほしい”的な無言の態度に、傷つかれる事も多いとの事ですが、中央タクシーさんは、どの方に来てもらっても皆さんが同じ様に、親切にされるとの事で、歩合給である中、何故、そんな”効率”の悪い、自分にとっては”損”な事を厭わず行われるのか?しかもそれが、会社の風土にまでできている所が、俄かには信じられない”伝説”です。

タクシー業界というのは、給料は歩合なので、会社側は車を増やし、ドライバーさえ雇えれば利益は出せる仕組みなのですが、それだけに、車は過剰となり、ドライバーは厳しい状況になるのですが、ただ、逆に辞めても翌日から他の会社で乗れるというのが業界の常識でなのです。
そんな中、中央タクシーさんは、中途採用は一切採らず、全て新卒で教育、それも人間教育をしていかれるのだそうで、結果的にはそれが大きな価値を生んでいるのです。

今週半ばには、ソーシャルイノベーションサミットが京都市で開かれ、全国から50以上の自治体関係者約200名が集まられました。

これは京都市の構想で設立された京都市ソーシャルイノベーション研究所が主催したものですが、
パネリストで参加された井上英之さんの言葉を借りれば、課題のある今の状況に気づいて、その対策をどの様にデザインしてビジネスで解決していくか?というのがソーシャルビジネスとの事ですが、それぞれの地域が、それを起点に立ち上がっていくべきで、その流れを、これ又パネリストでもあった門川市長のお話でいけば、明治維新で人口が激減した中、宝である子供を地域で育てれば未来は明るいと、町衆の力で番組小学校を設立していったという、正にソーシャルビジネスを行ってきた京都から、その精神を伝えていかなくてはならないという事でした。

大室所長も、小さい、町、村こそが、ソーシャルビジネスを起点に自立していくべきだとの想いを持っておられ、立場は違えど同じ未来像を見てお話もさせて頂いて来た事から、このサミットにKYOCAとしても関わらせて頂いたのですが、これだけ多くの行政の方がお越しになった光景を見て、確実に流れは来ていると感じました。

人間教育を徹底的に行って来られた中央タクシーさんが、異彩を放つほどの価値を創り上げられ、
苦境にたった京都が、立て直す為に、子供の教育を町衆で作り上げたという話は、人口減少社会に突入している日本が、どの様に進むべきかも、示唆している様に思います。

ソーシャルビジネスが全国で広がり、それを元に様々なものが生まれ、それに挑戦していく人がドンドン出て来る。

素晴らしい未来が想像できますが、それだけに、周りを巻き込み課題を崩していかなくてはならないソーシャルビジネスに携わる人には、ちやほやされても浮かれず、ひけらかさずという人間力を磨いて、”伝説”で語られる様になって欲しいと切に願います。

2015年12月12日土曜日

management の意味の違い

先週はブログを休ませてもらいました。

こんなブログでも、毎週しっかりチェックして頂いている方もおられるので、簡単でも書こうかと思ったのですが、足掛け半年間の勉強が終了した事、土日二日間の最終試験で見事!撃沈した事もあり、気持ちも一旦リセットする事にしました。

何の勉強?とよく聞かれるのですが、表現が難しく、日本語で言えば不動産管理となってしまうのですが、プロパティーマネジメントという方が近い感じです。

要は、不動産オーナーの希望を満たす為に、オーナーの立場に立って、あらゆる見地から現状を分析し、地域、近隣状況も分析しながら代替案を纏めていくもので、対象は不動産物件で、確かに”管理”ではあるのですが、”管理”だけではなく、トータルのマネジメント力が必要なものなのです。

それだけに試験は、撃沈されましたが、会社経営を見直すにおいても、いい機会であった様に思います。

会社経営であれ、プロジェクトであれ、何かを行うには、目標、希望があり、それを目指していく中で、その差異を分析し、その対策などから代案を立てて検証するのですから、全く同じ事であり、そういう意味では、この勉強を通じて、うちの会社の現状で足りない所も、気づく事ができました。

マネジメントを管理と訳すと何か違和感を感じますが、現在の日本企業の閉塞感の原因もそこに有る様に思います。

管理と言えば、規則正しく行ない、上司やリーダーは、それを守る様に管理する=見張る、というイメージですが、目標を掲げ、現状分析し、目標を達成する為に企画し、人、モノ、金をそこに配備して、人においては管理するだけではなく、モチベ―トもしながら、力を結集し、組織としての力を最大化するというものがマネジメントであり、日本語で言えば、”経営”という訳の方が本来の意味に近いと思います。

management の manは、mannerや manual と同じく手を表し、任せる事や、頼む事というニュアンスも含まれるそうで、そういう意味でも”管理”しているだけでは駄目で、"手"をかけて、"手"を下していかないといけないのです。


制度や法律だけ導入しても、とても一億総活躍の社会にはならないと感じるのは、管理というmanagementしかしていない所で、制度や法律を入れても、より、ギスギスするだけで、かえって歪も生む可能性もあるからです。

人に手をかけて、任せて、成長を促し、トータル的なmanagementをする人、会社を増やしていく事がこれからの日本においては特に重要だと思います。

ウエダ本社でも、目標は明確なのですが、沢山ある現状との差異分析をしっかりして、管理ではないマネジメントをしっかり行なっていきたいと思います。

そんな気づきを得られた勉強でしたが、撃沈された試験の方は、再度、受けるかどうか、思案中です。