2013年12月29日日曜日

激動の年、最後のブログです。

ウエダ本社は27日で激動の一年を終了しました。

いや、激動二年というべきかも知れません。

その最後の最後に、嬉しい事がありました。

うちの会社では、社員に求めるベーシック10という、クレド的なものがあり、毎月それに基づいて社員投票で一人が表彰される仕組みがあり、忘年会では年間MVPも選ばれます。

毎月の表彰でも思うのですが、いつも皆よく見てるよね〜と思う人が選ばれますし、この選ばれ方(選び方)の変遷を見ていると、組織としてや社員一人一人の成熟度も感じる事ができるのです。

今年最後の"ホスピタリティー"でも、今年定年で退職されたウエダ一筋42年の総務担当に代わって入社してもらった年配の男性が選ばれたり、年間MVPも、激変の中、全く文句も言わず、やるしかない、と取り組んでくれていた者が選ばれていました。

これらも、"確かに"と思う選定で、嬉しい事ではあったのですが、今年はその後にもっと嬉しい事もあったのです。

二次会に行っていると、先に帰ったベテラン営業から、今期抜擢した30代の営業リーダーに、表彰されているのは内務ばかりで営業から出ていないのが悔しい、来年は絶対営業から年間MVPを出そうというメールが入って来たのです。

ベーシック10というのは元々、ウエダ本社を再建するに当たり、銀行に事業計画を出す前に、そもそも社員に対して、私自身がどんな人間でどんな考えをし、どんな事を大事に経営をするのかを示さないといけないという事で作成した、10ページ程の"ウエダの指針"から、社員に求めるものとして10項目に落としたもので、私よりずっと以前から居るベテラン勢にとっては、ある意味途中から急に求められる様になった価値観です。

又、この指針や価値観は、ウエダ本社の場合、綺麗な夢から出ているお題目の様な理念ではなく、生き残りをかけた戦略にも紐づいたものなのですが、それがなかなか本業に絡んでいかないのがずっと取り組んでいる課題なのです。

つまり、外部からは色々取り上げて頂く事も多く、又、表面上は"いい会社"の様なのですが、それが実業には繋がらず、いわゆるCSR的にしかなっておらず、特に営業などは、理念を追いかけるのですか?数字を追いかけるのですか?という問いが出てくる様に、理念と事業の関連が腹落ちしない所でずっともがいてきたのです。

それが、私よりもずっと以前からウエダに居て、途中から価値観求められたベテラン勢、ハッキリ言えば酷な面も多々あったベテラン営業から、ベーシック10の表彰者を営業から出そうという意見を、抜擢したリーダーに言って来てくれたという事は、小さな出来事でありながら、私にとっては、これで完全に組織全体として前に進んで行くという確信を得た瞬間であり、この数年間でも最も嬉しい事でした。

この擦り合わせのペースを上げた為、この二年間は退職者もかなり出て、それ故、厳しい状況もありました。

ここでハッキリしておきたいのは、その間に辞めた人が悪い訳ではないという事です。

今の状態があるのは、退職した人達の存在もあって繋がってきたわけですし、社内ではしょっ中話していますが、私が正しいと言っているのではなく、私はこの価値観に基づいて経営していくので、それが合わないなら合うところでやらないと勿体ないという話で、退職した人自体に対しては、皆、それぞれの価値観に合う所でうまくいって欲しいと思っています。

プロ野球などで、それまでの球団で活躍できていなかった選手が、トレードされてそれぞれが活躍するというケースがありますが、私は一般のサラリーマンに対してもそんなイメージ持っており、退職者が出る事や、そして辞めていった人が、ウエダ本社に居た時より活躍する事は、悪い事ではなく、むしろ喜ばしい事だと思っています。

皆、自分の人生なのですから、ウエダ本社で燻るなら、他へ行って活躍した方が良いし、ウエダ本社に居ると決めたなら、そこで掲げられているベーシック10を目指して、吸収していった方が、その人自身がうまく行く事になるので、あくまで会社の為ではなく、自分の人生を無駄にしない事を求めているのです。

そして、ウエダ本社としては、長野県のあの会社の様に、履歴書で前職がウエダ本社と書かれているだけで、即、採用!となる様な、名実共に"いい会社"を目指して、来年からは前進していきたいと思いますので、何卒よろしくお願い致します。

という事で、週一に減らしながらも継続してきたブログも今年最後なります。

何も面白くないブログですが、それでも楽しみにしていると言って頂く方もあるので、来年も継続して参ります。

来年もどうぞよろしくお願い致します。

そして、皆様良いお年を!!











2013年12月21日土曜日

あたらしいフード会議と京果会館

20日夜、京果会館に向けてのイベント、"あたらしいフード会議"の第一回を行ないました。

京都青果合同(株)の執行役員であり、京野菜マイスターでもある松本部長と、フードデザイナーズネットワーク代表理事の中山さんという異色の顔合わせが良かったのか、当初25名定員にしていた所に50名の申し込みがあり、動線を変えてもらわないといけない盛況となりました。

中山さんと繋がる、或いは支持する人達は、京果会館に集まって欲しい層であるのと、京果会館の強みである、京都では100%のシェアであり、全国の産地ともネットワークを持つ業界大手の京果さんの存在を表す組み合わせでもあったのですが、今まで行なって来たセッションの中でも、指折りの面白さでした。

特に30数年、誇りと愛着を持って、農家と野菜流通に関わって来られた松本部長のお話は、お世辞抜きで格好良かったですね。

話の中身もさる事ながら、今回のセッションで私は二つの大きな問題を感じました。

一つは、物事は決して上辺だけではなく、その下の階層から全てをしっかり見て、判断しないといけないし、そういう目を養わなくてならないという事です。

有機、無農薬は、良いですし、それを広げていく事は重要ですが、だからと言って市場流通している物が悪く、直売の方が、新鮮で良い物という様に思わされていないでしょうか?

直売は逆に言えば、化学肥料などの基準は有りません。
又、責任も取れません。
それこそ、"有機"とうたっていても、基準に縛られない中の話ですから、全てが信用できる物とは限らないし、分からないのです。

中央市場の元締めという立場では、そういう事をしっかり守っているという自負、又、ちょっと基準をオーバーしただけで人体には影響がないと言われているのに、それまでの農家の苦労も全く水の泡となってしまう事への理不尽さ、市場を通さない物の方があたかも良いかのような流れに反発も持っておられました。

そして、自分は、仕事を続けられる限り、市場流通の良さをアピールし、この大切な機能を残す事に全てをかけます!とも仰っていました。

この様な、ある一方方向の流れで、他方の良さを見えなくしてしまっている事って、見渡せばたくさんあるのではないか?とハッとさせられました。

一つの流れがある時、その流れでは無いことがあたかも悪の様に言われ、目の敵扱いされてしまう事がよくありますが、この傾向はかなり危険だと思います。

そしてもう一つ感じた大きな問題は、仕事への対し方であり、仕事の尊さです。

何十年も一つの事を叩き上げていくと、人間が鍛えられ、あれだけ自負心や誇りを持てるまでになるのだと、改めて感心すると共に、昨今の働き方、スキルやマニュアルに頼った様な働き方で、ましてや負荷を嫌う働き方からは、あの様な格好良さは生まれないと思います。
そんな人間しか経験する事ができない、仕事を通して得られる、"熟練"という成長を自ら放棄する風潮に流れている様な気がします。

京果会館は、単なる飲食店が集まる商業ビルではなく、元々から有る講堂を、ワークショップやイベント会場に仕立てながら、"食"をテーマにした様々な情報を発信し、“食"を通して日本を豊かにしていく人、魅力溢れる人を輩出していく食文化の発信基地としていきたいと思います。

2013年12月14日土曜日

ウエダ本社はソーシャルビジネス?

先程、東京から戻りました。

昨日は10時半から、表参道のアポに始まり、夜8時半の食事の約束まで、今朝は9時のアポから午後のワールドシフト、その後打ち上げにも参加させて頂き、最終一本前の新幹線に飛び乗るまで、みっちりぎっしりの二日間でした。

この間の出来事も、一つ一つでブログの一話が書ける様な話であり、驚きの出会いや、新たな出会いもたくさんありました。

出張前の京都でも、スターリィマンの、はせがわファミリーが寄って頂いたり、ミラツク理事会でgreenz .jpの兼松さんが来てくれたり、昨日はFBで、ISFネットさんのソホラに居るのをUPすると、秘書の方が見て、「今、大久保寛司さんが来られてますよ」と、呼びに来て頂き、驚いて行くと、そこには又、以前からお目にかかりたかった方がおられたりで、交差しまくりでした。

大久保さんは翌日、鎌倉投信の鎌田さん達が行なっておられる、いい会社をふやしましょうのセミナーに出演されるとの事でしたが、そこに登壇される池内タオルの池内社長は、この日、京産大の大室先生が行われている100日間の学生との共創イベント"リリース"で、私が出張中のウエダ本社に来られていたのでした。

そして今日午後は、放送作家の谷崎テトラさんが毎年行われているワールドシフトにご招待頂き、参加しておりました。
テトラさんとは、信頼資本財団さんと、うちの会社で行っておられたソーシャルシネマダイアログからのお付き合いで、今年初めての参加だったのですが、会場では昨年、このワールドシフトの学生版イベントをうちのビルで開催していたとの事で、私の事を知ってくれている学生も居て驚きました。

コーディネーターの田坂広志さんにご挨拶すると、京都流議定書の事は覚えて頂いていたり、俳優の伊勢谷友介さんは流石にイベントはご存知なかったですが、それでも色々と繋がる所はあったりで、本当に最近、この種のイベント、集まりに行くと、面白い様に繋がったり、京都のソーシャルと言えばウエダ本社ですよね!などと言って頂ける事もよくあります。

確かに最近、イベントや何かの委員会で、うちだけが民間企業で他は全て行政や公的な機関というケースもよくあります。

何々といえば・・・と、言ってもらえるのは嬉しい事であり、そういう事を作ってきたという面もあり、それがソーシャルなどというカテゴリーでイメージ頂けるのは本当に有難いのですが、公的な所に混じって並べて頂いているというのは、儲けていない、儲かっていない様に見えているからなのでしょうか?

そうすると、"活動は良いけど、あんなに儲けている会社は、公的な並びには入れられない"
経営者としては、ある意味、そんな風にも言ってもらえる様にしないといけないですね。






2013年12月8日日曜日

多様性と幸福感

今週も怒涛の一週間でした。

ここ最近ずっと、読書や、ゆったりとしたインプットの時間が取れず、アウトプットばかりしている感じです。

そんな中、唯一のインプットと言えば、やはり色々な人と会う事でしょうか。

ある幸福学の研究によると、たくさんの友人を持っていても幸福感には繋がらず、多様な友人を持っている人は幸福感を感じる傾向にあるそうですが、この一週間でも、ソーシャルシネマダイアローグに集まる人、リリースでの学生達から、京果会館や他のプロジェクトやビジネスで関わる方々、大学、行政関係者など、多様な方々に出入りして頂けるのは本当に有難い事だと思います。

そんな中、今週は信頼資本財団さんが五回シリーズで行なっておられた、ソーシャルシネマダイアローグの最終回が有りましたが、その題名は、"幸せの経済学"というものでした。

グローバリゼーションに対するローカリゼーションを題材にしたドキュメンタリー映画で、主張しているポイントには全く同感なのですが、残念だったのは、その中で大企業は"悪"的なフレーズも有った所でした。

何故、人との繋がりや、環境や自然との共生、人類、生物の本質などを考えたり、地球や宇宙を守ろうという人達からでも、"悪"という発想が生まれるのでしょう?

何故、他の意見やポジションの人を認められないのでしょうか?

"〜すべき" という意識が強い人は、"〜すべき"正論以外は"悪い"となり、時には他を攻撃するケースを見かけます。

今、問題となっている特定秘密保護法案や、原発の問題など、国家や人類がどうなる?という話から、ちょっとした勉強会や、プロジェクトなどでも、そうしない、そうやらないのは、おかしい!と言う人も多いですが、同質の人達だけで集まっていくと、どんどん正論化し、先鋭化していく様になってしまうのだと思います。

ビジネスの世界では、うまく話を進められるかどうか?は、相手のポジションや背景を考え、ボールは何処にあるのか?を意識できているかどうか?に関わっていると思いますが、"〜すべき"という想いの強い人は、ボールが何処にあるのか?は関係なく、ボールは自分にないのに、シュートばかり考えている様なもので、得点には繋げられないのです。

同じ感覚、同じ種類の人達だけで繋がっていると、他への文句や、批判が生まれやすくなって、素晴らしい想いを持っている人なのに、何も生み出す事ができず、不満や批判ばかりという残念な姿になってしまう恐れもあると思います。

多様な人達との繋がりを持つ事は、違う意見が少なくとも"悪"という感覚にはならず、不満が少ないという事は、感謝するケースも多くなり、それが感謝の数とも相関性のある幸福感を感じ易くするのかも知れません。

まだまだ暫く、ゆったりとしたインプットの時間は取れそうにありませんが、多様な人々との付き合いを通して、幸福感を得られる人間性を養っていきたいと思います。





2013年12月1日日曜日

初! 社会イノベーター公志園

昨日は、ISLの野田さんが行なわれている社会イノベーター公志園に参加していました。

今回で三回目となるそうですが、私は初めての参加で、その中身を知らないまま行ったのですが、関わっている人達が、ビジネスバリバリの方が多いのに驚きました。

15人の選ばれしイノベーター達が約半年に渡って研鑽を重ねるのですが、よくあるビジネスプランコンテストや、昨今のソーシャルビジネスと持て囃したイベントではなく、それぞれに伴走者という人達がコーディネートされていたり、大企業のリーダー研修を数々行なって来られた野田さんが一つ一つが仕組み化されている点が、他とは似て非なるものだという印象でした。

私などは想いだけで、京都流議定書というものを行なってきましたが、そんな私から見ても、最近のソーシャルビジネス、ソーシャルイノベーター達の取り上げ方や、取り上げたイベントなどには、その想いさえ希薄に感じるものも多く、危うさを感じていましたが、社会イノベーター公志園は、想いだけでもなく、それを実現していく為の仕組みが用意されている点が、なるほどなあ〜と
一人唸っていました。

大企業のリーダーだけを鍛えていっても、有能であるだけでは、今の日本では変革は起こせないと思います。

そこがソーシャルイノベーター達が期待される点なのですが、こちらには想いや、使命感は有っても、優しさ、人の良さだけではやはり改革は起こせません。

要素還元法で切り刻んで、分析し、体系化できる能力と、それを横断していく事、その為には、理屈ではない強い想いや、複雑系的な思考も必要なのだと思います。

それらを両側から一気に進めていく為に、熱く強い想いを持ったイノベーター達に要素還元で切り込み、ロジックで鍛えていく一方、大企業側にはイノベーター達の想いを感じてもらって、ソーシャルに向けていこうとされている仕組みとなっているのです。

こういう野田さんの完全プロデュースされた"舞台"を見せて頂くと、私自身も、自分の限界もよくわかり、何故かスッキリした気分でした。

来年から京都流議定書も、ソーシャルイノベーターのリクルーティングに徹して、優秀な人をイノベーター公志園へ送り込むという役割に変えた方がいいかもしれないですね。

打ち上げにも参加させて頂いていましたが、大人数の中でも、"ここ入れ替わって下さい"と、座る席、人の並び、繋ぎまで拘られる野田さんの姿からも、どの様な並びにすると場が良くなるかというプログラム的思考と、それぞれがメリットある繋がりを作って欲しいという気配りという両極の才能を感じました。

大仕掛けをするプロデューサーには、こういう能力が必要なのですね。

私は全く別の視点から勉強をさせて頂いた社会イノベーター公志園ですが、3月迄の最終プレゼンに向けて、どう展開していくのか、楽しみです。