2013年4月29日月曜日

最年少と最年長?の理事

先週は京都経済同友会とNPO法人ミラツクの総会に出席しました。

一般社団法人に移行した経済同友会では常任幹事からの移行で、ミラツクではこの総会で新しく、それぞれ理事に就任しておりました。

こういう会合も時間は取られるのですが、大変勉強になりますし、逆にその様にしないといけないとも思います。

京都経済同友会では、まだ私が一番年少の理事でもあり、他は名だたる経営者ばかりですので、そこに名前を連ねているだけでも面映いのですが、会議などでの皆さんの発言を聞いているだけでも、企業としてそういう考えをされるのか?とか、そういうポイントを見ないといけないのかなど、大企業、有能な経営者の考え方に触れる、貴重な機会になっています。

一方のミラツクは、自分が"未来をつくる"という意志を持った人の集まりであり、こちらでは最年長に近い存在ですので、何故、その若い間から、そんな想いになって、そこまでするのか?と、一人一人背景や育った環境まで聞きたくなるくらい刺激を受ける若者に出会えます。

最年少と最年長の連日の総会を見て、やはりこれが、私の役割なのかなあとも思います。

ミラツク総会で聞く様々な問題も、結局は消費者であり、国民の意識が変わらないと解決に繋がらないという話にも出ていましたが、その通りだと思います。

NPOだけではダメでしょう。

企業をソーシャルに向かわせた方が早いかも知れません。

国、行政は、今までのお金の使い方、決定と執行の在り方を見直さないと話にはなりません。

消費行動で意思を示していく事のできる国民は、企業、商品、勿論政治家を選別していかなければなりません。

全ての問題は、国民が変わらないと根本的解決にはつながらないでしょう。

それだけに、NPOが、企業が、行政が、という話ではなく、それぞれの立場で活動していかなくてはならないですし、それらが混じり合っていかないといけないと思います。

その中で私は、最年少であり、最年長であるという立場で繋いでいきたいと思いますし、オフィスに関わるウエダ本社として、多くを占めるサラリーマンの国民としての意識を変えていきたいと思います。

その最初の壁は自社内ですが。

2013年4月21日日曜日

数十年後のビデオレター

4月20日付けで、ウエダ一筋に42年務めて頂いた元管理部長が退任されました。

またまたウエダにとって、精神的に大きな穴が開いた感じでもあり、淋しい限りです、

私が入る事となってから、貸し渋り、貸し剥がしと言われた頃の銀行との怒鳴り合いの交渉や、仕入先から、力づくでの現金支払いへの変更要求とそれに関しての出荷停止措置、又、それに絡んだグループ内での不明瞭な資金流出などなど、当時、四面楚歌状態で正に”戦って来た”経緯を、唯一知っておられる方でした。

正直、そんな苦境を乗り切っていく戦略を練ってもらえる、”切れ者”ではありませんでしたし、誠に失礼ながら、関わり上からも、一番怒った回数もある方でした。

しかし、内心は腹立たしかったと思いますが、一度も反論される事なく、ずっと堪えて頂いていた様に、正に”実直”という言葉がピッタリの、会社の事を誰よりも思って頂いていた方でしたので、定年も関係なく居て頂きたかったのですが、介護の問題もあり、定年を機に退職される事となったのでした。

先日、その方の送別会で、社員達がサプライズで用意してくれた、お嬢さんからのビデオレターには、
長年、苦しい事にも愚痴をこぼさず、家族の為に頑張ってくれたお父さんへの感謝が述べられていました。
それと共に、「社長の事を助けて欲しいと、千恵子(亡くなった私の母)さんに言われているから、自分にはその使命がある」と、ご家族に言っておられたとの話もされていました。

この話は私自身も、元部長から数ヶ月前に初めて聞かされたのですが、お嬢さんの感謝の言葉だけでも涙腺がやられてるのに、そんな事まで家族に話されて勤められて頂いていたと思うと、涙を拭いきれませんでした。

創業者の娘である私の母は、自分が小さい頃から手伝い、言わば青春も捧げて来たウエダを残したいという想いは誰よりも強かったと思います。
その会社こに”入らざるを得なくなった”私への協力を、自分では何もできないので、この方の実直さにかけていたのだと思います。

他の社員からすれば、”社長も涙もろくなったなあ”くらいの感覚だったかもしれませんが、インタビューを見ながら、色々な人の想いを感じると共に、業績が悪かったせいで、社員の人生や家族など、どれだけの人に歪みをもたらしていたのか?という申し訳ない気持ちと、そんな中でも毎朝早くから文句も言わず、出勤されていた事への感謝など、実は、感動だけではない、入り混じった心境だったのです。

やはり会社は、良い成績を上げないと誰の為にもなりません。

今、まだまだ結果が出ていないという事においては、やはり私の責任であり、その能力不足から、十分報いる事ができず、負担を強いている状況であるのですが、そんな中、ウエダ本社では結婚や、出産が続いています。

大変嬉しいオメデタイ話なのですが、その反面、大きな責任を感じます。

これから生まれて来る子供達が数十年後、今居る社員達も、このお嬢さんの様に、立派に成長されたお子さんから感謝を述べられたり、家族の方から、良い生活を送れたと言ってもらえる様な会社を築いていきたいと思います。

そして、数十年後にも、その子供達が、”お父さん(お母さん)、良い会社で勤められて良かったね”と言っているビデオレター(形は変わっているでしょうが)を、皆で見たいものです。


2013年4月14日日曜日

リヴオンの入社式と、寺ルネッサンス

尾角光美さんのリヴオンの入社式が、うちの会社で行なわれました。

初めての事であり、それらしくもしたいので、応援してくれる人にも集まってもらい、”働く”ってなんだろうを皆で考える、温かい会にしたいという事でした。

その最後に、贈るメッセージを頼まれていたのですが、この新入の女性も含めて、参加者の半数が僧侶という中での挨拶でしたので、社員や、家族にすら話していなかった様な、死生観を話させて頂きました。

私も含め多くの経営者は、関わりのある人に対して責任を負って経営していく中で、宗教観~哲学と、どんどん深い所に入っていって、漸くそんな心境になる所を、20代の若い僧侶達は、必然的に身につけているので、一般的な働き方を話しても意味無く思え、もっと深い所から話をしないとと思った事と、普段では、重く受け止められるので遠慮する所を、ここでは安心して?深い所から話させてもらったのです。

働くという事については、役割を果たす事、役に立つ事、生きる事である、という話が当たり前に出てきて、普段、社員や、多くのサラリーマンにも考えて欲しいポイントが、呼吸をするかの様に出てくる姿を見ると、やはり宗教観が備わっていれば、人の考えも的を外す事はあまり無い様に思いましたし、今の日本に足らないのは正にこの点だとも痛感しました。

働き方を考える為には、生き方を考えないといけないですし、”生きる”を考えるには、”死ぬ”という事から考えないと、その意味はなかなか出て来ないと思います。

つまり死生観がないと、働くというものも、しっかり捉えられないのです。

何故、勉強しないといけないのですか?

何故良い学校に行かなくてはならないのですか?

そもそも良い学校って何ですか?

良い会社ってどんな会社でしょう?

何の為に働くのでしょう?

何故、お金が必要なのでしょう?

楽してお金を儲けて、楽しく過ごしても死んだら何か残るのでしょうか?

そもそも必ず死ぬのに何の為に生きるのでしょう?

私の場合、実は、そんな所から全て考えているので、やっている事は、その時々の役割で変わっていますが、生き方、方向性は、ずっと変わっていない様に思います。

安心して思い切り話をすると、ある僧侶から、是非、僧侶達に話をしに来て下さいと言われました(笑)

僧侶の方も迷われているのでしょうが、混迷の時代、社会との繋がりを期待したいと思いますし、リヴオンの行なっている、お寺の復興”寺ルネッサンス”は今後の日本にとって、本当に重要なプロジェクトだと思います。

2013年4月6日土曜日

スタジオーLの働き方

先日もコミュニティーデザイナーの山崎亮さんとお話させて頂く機会がありました。

過疎地などの再生などのプロデュースで有名ですが、私が大変興味を持っていて、一度じっくり教えを乞いたいのは、山崎さん率いるスタジオLさんの仕組みと働き方です。

スタジオLさんでは全員が個人事業主であり、ある人が取ってきた仕事を一緒にやるメンバーを社内で公募し、報酬も自分達で決めるのです。
自分で取ってきた仕事を人選から経費まで全てを考え、残ったものが自分の取り分という考え方なので、どの様に経費を使うかから働き方まで自由で、全ては自己責任なのです。

しかもこの仕組みでは、プロジェクトを取って来れる人はそれでやっていけるのですが、取って来れない人は、自分のできる事を磨いていかないといけないですし、コミュニケーションが取れない人は、関わりが持てないので社内でも仕事が貰えないのです。

ですから自ずと、まだスキルがなく若い間は、何でもやります!という精神、素直に吸収していこうという精神がなければ、やっていけないのです。

実はこれ、働き方、仕事との関わり方において、私の理想とする仕組みで、そんな働き方の集団にしたいという想いを持っていたのですが、それを山崎さんは実践されているのす。
と同時に、山崎さんに憧れたり、今の話題性に興味を持っている特に若い人達には、注目されている格好いいところだけではなく、こういう厳しいところも知って欲しいですし、会社勤めの人も、仕事は文句を言ってやっているものではなく、自らが望んでやるものであり、それで食べていけるスキルや経験がなければ、何でもやります!という素直さがないとやっていけないという事を分かってもらいたいと思います。

そして働くという事は、当たり前ですが辛いものでも悪いものでもありません。

ワークライフバランスという言葉を間違って捉えた事が本質を歪めてしまったと思いますが、スタジオLさんの様に、どの様に、どんな経費や時間を使って行なうのかも自分で決めていくというのが本質であり、それでいけば、ワークかライフかどちらですか?でもなければ、時短が良くて、長時間働く事が悪というものではないのです。

多分スタジオLさんでは、長時間働く事が悪と思っている人はおられないと思いますし、スキルも経験も無い若い人は、むしろ望んで長時間働かれていると思います。

スキルも経験も無く、何でもお膳立てをしてもらい、それが無ければ不満を言っている様な人達が、時短や権利ばかり主張していって、その人達自身がこの先、しっかりやっていけるのでしょうか?

20代や30代は寝る間も惜しんで働くべきだと山崎さんは仰っていましたが、私も同感です。

権利や自由というものは、義務や責任を果たすから得られるものであり、ワークとライフをバランスさせるという様な分けた考えからは、人間らしさ、真の人間性を尊重した考えは生まれて来ないと思います。

嫌な事や苦しい事だから長時間は悪いのですが、やりたい事、自分を成長させる修行であれば、長時間は自分の為です。

「おもしろおかしく」 「イヤならやめろ」 最後はまたまた堀場さんの社是や著書ですが、やっぱりこれが本質です。

2013年4月1日月曜日

新入社員を迎えて思う、人材という資産

今日から、新入社員二名が仲間になってくれました。

元々は、一人の女性社員が産休に入るので、その間に契約かバイトで来てもらえる人を探そうとして、知り合いの先生にお願いしたのですが、うちの方向性を知って頂いている先生方から、価値観にも合いそうで、素晴らしいと紹介された人であったので、結果的にほぼ新卒正社員と同じ様な形で、入ってもらう事になった仲間です。

かなり上向いたとは言え、まだまだ厳しい攻防を続ける業績の中で、予定していなかった社員を、しかも一人の穴埋めに二名を入れるというのは、損益計算上は、間違った話なのだと思います。

人件費をコストと考える経営では、間違った経営者でしょう。

しかし、そもそも人にスポットを当て、人を生かす事でトータルのパフォーマンスを上げていくべきと考え、それを推し進めていく事を会社の存在意義とするウエダ本社では、その方向性、価値観に共鳴してくれる人、その実現を一緒に目指してくれる人が居れば、入ってもらうべきだと思い、今回の採用となったのです。

そして今日、そんな経緯と直前に決まった事から、時間の無いながら、皆からメッセージを集め、映像を作って形にしてくれた社員のお陰で、昨年までの入社式という形ではなかったですが、温かく迎え入れる事ができたと思います。

又、それに大きく貢献して頂いたのは、二人のご両親でした。

日にちが無い中、お手紙をお願いしたのですが、両家とも、お父さん、お母さんから、それぞれ素晴らしいメッセージを頂き、それが映像内で読み上げられていました。

そのお手紙にしたためられたメッセージは、全社員で共有し、教訓としても良い程、本当に素晴らしい内容で、その後に、私が話す事になっていたのですが、トンでもないと急遽取りやめた程でした。

こんなに素晴らしいご両親が大事に育てて来られた事を見て、入ってもらった事が正解だったと確信できました。

やはり人材は損益計算書で考えるのではなく、バランスシートの資産で考えるべきだと思います。

そして、そういう社員や、ステークホルダー達に集まってもらう為にも、自社の価値観を発信していく事、共鳴した人達に協力してもらえる事が、数値化できない大きな資産になるのだと改めて感じた日でした。