2010年2月3日水曜日

論語と算盤の企業観

昨日、経済同友会の経営問題研究委員会でスピーカーとして来られた渋沢健氏のお話を伺いました。

渋沢栄一氏の孫の孫という方で、現在は投資コンサルティング会社を経営されておられます。
渋沢栄一という人は近代日本資本主義の父とも言われ、現在のみずほ銀行にあたる第一国立銀行を始め500にものぼる企業設立に関わったという、正に日本の会社の仕組みを作ったと言っても過言ではない人です。

しかし、三井、三菱などの財閥系の様になっていない事を不思議に思っていたのですが、私利私欲を超え、教育・社会・文化事業にも力を注がれ、600もの公共・社会事業にも関わっておられた方の様です。

その子孫である渋沢健氏が栄一氏の足跡を調べ、検証されていかれ、企業とは何か?について、ご自分の経験と栄一氏の考えを摺り合わせたお話は、私にとって、腹に落ちる事が多くありました。

ノーベル賞受賞者のミルトン・フリードマン氏は、企業の社会貢献は、合理的ではなく、矛盾しているとの見解であり、健氏も渋沢理論は間違っていたのか?という思いも持たれていたそうです。
しかしその後、同じノーベル賞受賞者のムハマド・ユヌス氏が、人間に多様性がある様に、その人間が集まった企業にも多様性があり、収益性だけが企業価値を反映しているではないという説を唱えられ、健氏は、これをもってフリードマン氏は20世紀の企業論であり、21世紀はユヌス氏の説が正しいのではないか?と渋沢理論に自信を持たれた様です。

興味深いのは、日本で株式会社の仕組みを作られた渋沢栄一氏が、明治の頃、既に会社の存在意義や存在価値において、数値化できない資産が重要だという考えを持たれており、何の為に会社を行なうのか?何の為に生きるのか?どういう人生を歩むのか?という様な事について私も考えていた事を証明してもらった様な、すっきりした気持ちになりました。

最後に、子の曰く、これを知る者は、これを好む者に如かず。これを好む者はこれを楽しむ者に如かず。という論語で締めくくられていました。
それは、①物事を知る事は大事。②知る事より、好きである事が大事。③好きであるより、楽しむ事が大事。という意味だそうですが、知る事と好きである事は一人でもできる事だが、楽しむ事には人が集まってくるとの事であった。

だから楽しまないと駄目。
ただ、これは、面白く楽しいだけという意味ではなく、厳しい事も楽しもうという意味であり、そんな人や会社には人が集まってくるのだという意味だと思います。

私もまだまだ課題だらけで、悩み多いですが、それ自体を楽しむ様にしたいと思います。

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