2008年7月20日日曜日

ウエダ再興記(45)~ バランスシートの改善

自分で創業をしていたとは言え個人事業の様なものでしたので、ウエダに来た頃は、経営について全く何も知識がない状態でした。
難題山積している中、誰にも相談できませんでしたので、ビジネス書は読み漁っていたという状況でした。
倒産を防ぐ為には即刻の黒字化をしなければいけませんでしたので、中でも会計に関する本は十冊以上まとめて読んだ様に思います。

お陰でバランスシート(貸借対照表)が読めない経営者が多い中、ある程度バランスシートを見て判断を下せる様になったと思います。
会社価値を高める事を別にすれば、第二の創業後の私は、黒字転換をして、バランスシートを改善する事に専念していたと言っても過言ではありません。

この局面になると、累積損失があるという事は大変有り難く、利益を上げても税金は納めなくて良いので、意識して展開していくと面白い様に財務の中身が良くなっていきました。

創業の文具卸を外に出したのも、先行きを考えると厳しい状況だったからという事でしたが、バランスシートの改善という意味も大きくありました。
当時は2億円強の在庫を持っていましたから、文具卸部門がなくなると、その2億円が丸々浮いてくるので、これも(不良在庫もありますから、額面通りではありませんが)借入金返済に回す事ができました。

毎年、利益の様子を見ながら、順に不良資産を整理していきました。
厳しい状況下で救って頂いた際の、京都信用金庫の本店長は代わられていましたが、その後の本店長には、”これだけ言った通りに改善計画を実行して来た会社は珍しい”又、その次の本店長にも同じ様に、”改善の仕方は京信本店の取り引き企業の中でも3本の指に入る”とまで言って頂ける様になりました。

私は人の能力は、”やる気”のみと考えていますが、これらの事でも証明される様に、切羽詰まった局面で逃げずに集中して取り組めば、中途半端な専門家よりも詳しくなれると思います。

引き継いだ当初、最大借入金が8億8千万、自己資本比率が約17%という状態から、これら財務体質の改善に強烈な意志を持って取り組んだ結果、終に2008年4月期には自己資本比率50%で、現預金が借入金を上回る、実質無借金企業の仲間入りをする事ができました。
当初は、毎年の返済額からして、いつになったら完済できるのだろうと、気が遠くなった借入金も、考え方が変わり、取り組み方が変わると、ほんの6年程でできてしまったのです。

一人の人間でも会社でも、良いスパイラルに入るのか、悪いスパイラルに入るのかが、大きな分かれ目だと思いますし、そのポイントをウエダの社員を含め特に若い人達には、理解して欲しいと思います。

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