2008年4月20日日曜日

ウエダ再興記(34)~ IT系の手法とリアルビジネス

しかしその後、何度か会議に出席していると、そんな賢い話より、もっとやるべき事があるのではないの?そう思う様になりました。

その頃、Kという会社は知られていましたので、こちらの業界でも色々な人に会う事ができました。
ところが色々な会社に出入りしてみると、Kという会社だけではなく、多くの会社で、夢と資本政策だけで上場を目指すという様な話ばかりで、実体がない状況でした。

実際あった話で、A4用紙一枚だけの企画書で4億円の出資を引き出したという人も居ました。
多くの会社が、凄く賢く、夢があるのに対して、”商売”という観点からすると、かなり幼稚な感じでした。
その後ライブドアの問題で話題になった様に、殆どのところが、上場自体が目的であり、上場して一攫千金を狙っているだけで、事業を展開する為に資金が必要だから上場するという事ではありませんでしたし、会社を使命感で運営するとか、会社は
世の中の為に・・などという感覚は全く持っていない感じでした。

皆、夢とアイデアを脚色し、それをビジネス感覚なしに賢い資本政策だけで上場まで持っていくというスタイルで、上場してお金を集めて、そのお金でリアル(実体のある)のビジネスを買っていくというスタイルでした。
後に堀江氏が近鉄球団買収に乗り出したり、衆議院選挙に出たりという際にも世間では時代の寵児と持て囃していましたが、私は、その頃のIT系の考え、手法を分かっていましたので、”近鉄買収”と出た瞬間から、狙いは直ぐに分かりました。
要は、実体がなくても、上場して時価総額を上げ、その作ったお金で、実際のビジネス(往々にしてこちらの方が市場での価値が低いケースが多い)を買っていき、実際の売上を作っていくという手法であり、皆が持て囃している頃からずっと私はこの手のやり方は納得いきませんでした。
それが法に触れるか、触れないかは別として、それをやりたいのなら、投資家としてやればいいのであって、株式会社という本来は自分のビジネスを行う為に資本を集めるというスタイルを利用して、行なっている事に腹立たしい思いを持っていました。

しかしこれらの世界を見れた事は私にとって、大変大きな事でした。
ウエダの置かれている状況と、このIT系の対比を見ていると、逆にリアルのビジネスを持っているという事の価値観を改めて感じる事ができ、一つ一つをしっかり売るという事の大切さ、難しさを見る事ができ、それ故、倒産寸前の局面があったウエダも、実感として再生はできる、どんなに縮小しても採算さえ合わせば、それは実体のある数字であり、そこに新たな夢のあるネタ、商品を乗せていけば、これは強みになる、そう確信を持てたのでした。

これが言わばウエダ再興におけるホントの意味のリストラ(再構築)の意味合いでした。

0 件のコメント:

コメントを投稿