2008年3月2日日曜日

ウエダ再興記(27)~ 退路を断っての筈が

私はよく、綺麗ごとを言う人を信用しないと言います。
口では何とでも言えるのですが、実際にやる事が大変であり、口だけの人は大抵、自分が困ると人を裏切ります。
又、人間的に良い人がビジネス上悪い人になるケースが多いと言うのも私の持論です。

この物流事業脱退交渉の中でも、忘れられないワンシーンがあります。

前回も書いた様に、他の4社からすると、心情的にも、実質的にもウエダが脱退するなど認められるわけはありませんでした。
その立場は、私にも理解できていましたが、私の仕事は、ウエダを再生させる事であり、まずは会社と社員を守る事です。

4社の内、組合の理事長も務められた社長が、”我々5社は、退路を断ってこの事業を行なって来た、それなのにその中心であるウエダが、それを脱退するとは何事だ”と言われました。
私はその瞬間に非常に腹が立って、言いました。
”あなた方が、ご自身の退路を断って行うのは勝手です。
しかし、それぞれの会社には社員が居るのに、会社の退路までを絶つという権利は、いくら社長でも 無い筈です”

一番の若僧に言われ、憎憎しかったと思いますが、誰も反論はありませんでした。

その後、中心のもう一社(S社)の社長が、ウエダの立場を認めてくれて、ウエダの負担分を払い脱退させてもらう事になるのですが、ウエダが抜けてから、1社は倒産し、1社は廃業しました。

倒産した1社の社長は、中心であったS社社長には散々世話になっていたと思いますが、前日の夜まで普通にS社社長と会って話していたのに、一言の相談もなく、別れた後直ぐ、倒産手続きをしたそうです。

廃業したもう1社は、創業が奈良時代とも言われる老舗の会社で、私に”退路を断って”と言った社長です。
その”退路を断って”とまで言った社長は、自分は海外に持つ個人資産を残して、創業千年以上とも言われる会社をあっさり廃業させて逃げて行ったのです。
ウエダ以外の4社は退路を断って、一心同体で結束していた筈なのに、連携していた残りの2社に迷惑をかけてあっさり逃げて行ったのです。

これなどは本当に綺麗ごとを言う人は、信用できないという典型だと思います。

S社社長が認めてくれた事から、ウエダはその時点までの責任分とウエダが撤退して事業縮小になる事に対しての補填金を含め、億を優に超える違約金を払う事で、ウエダの連帯責任を外し、脱退をさせてもらう事になりました。

私は、キツイ事をはっきり言いますが、それは特にビジネス上では、裏切りたくない、嘘をつきたくないから言うのです。
この問題では、皆からは嫌われていたでしょうが、最低限、裏切らない為には、会社を潰さない事、その為には多大な違約金を払ってでも、脱退させてもらう事が損失が少ないと判断したのです。
(実際、倒産すると、その会社の負債も、残りの会社に割り振られる事になるのですから。)

ただ、これが出来たのは、同時に進めていた、コンピュータ子会社の株式の、売却交渉の目処が立ってきていたからではありました。

残られた2社については、ウエダは責任分を払ったのだからと、違約金を払った後は不問にしてくれましたので、感謝もしておりますし、その後うまく縮小化され、設備も貸しながら返済もされておられるので、本当に良かったと思っています。

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